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ネーザルハイフローで挿管回避 地域の医療を支え続ける

ネーザルハイフローで挿管回避 地域の医療を支え続ける

岐阜県立多治見病院センター好生館
近藤 泰三 理事長/病院長(こんどう・たいぞう)
1980年名古屋大学医学部卒業。
公立陶生病院、小牧市民病院、岐阜県立多治見病院内科部長、
同地域医療センター長、同循環器科統括部長などを経て、2018年から現職。

 第2種感染症指定医療機関として、2020年3月から新型コロナ患者を受け入れてきた岐阜県立多治見病院。重症患者への治療やクラスター対策について話を聞いた。


─コロナ対応の状況は。

 第1波の緊急事態宣言と同時に、県からコロナ対応の病床を増やすよう要請を受けました。結核病床の13床をコロナ専用に転換。5月末には術前PCR検査を開始、6月には院内PCR検査も整備しました。

 第3波といわれる11月ごろから感染者が増え続け、12月に入ると病床確保が厳しくなりました。そのため、救命救急センターの集中治療室2室を、重症患者用に確保。一般病床も9床をコロナ病床に転換。緩和ケア病棟を一時中止し、コロナ対応の看護師を増員しました。21年1月の最大時にはコロナ病床が42床、救命救急センターで3床、挿管している患者が4人と、非常に厳しい状態でした。

 21年2月になると、近隣の複数の総合病院で大規模なクラスターが発生し、当院に一気に患者が集中しましたが、何とか持ちこたえることができました。その後4月以降に第4波が来て、変異株で重症化への進行が早かったのですが、早期からの薬剤投与と腹臥位でのネーザルハイフローで高濃度酸素を供給し、挿管に至らなくて済んでいます。患者の人数は多かったものの、これまでの経験で看護師がスムーズかつ、冷静に対応できたと思います。


―クラスターの対策は。

 職員にも陽性者は出ましたが、クラスターにならなかったのは感染管理部の対策が生かされています。週3回コロナ感染対策会議を実施し、リアルタイムな情報を共有して対策を行ってきました。何よりも当院がクラスターを起こしてしまうと、この圏域の医療が成り立たなくなります。クラスターを起こさない気持ちを職員一同強く持ち続け、気が緩みがちになる昼食時や休憩時のマスク着用なども徹底しました。

 多治見市は、愛知県に近く、通勤や買い物での往来が多い。それだけに、愛知県で感染が広がれば、すぐに影響が出ます。まだ新しい変異株の脅威もあり、今後は未知数ですが、クラスターを起こさないようしっかり取り組んでいきます。

 現在は職員のワクチン接種も終了し、地域のワクチン接種に協力をしています。当初は個別接種や医師会による接種を基本としていましたが、接種を早く進めるために週に3〜4日、当院から医師、看護師などを派遣。早く市民の接種が進むよう全面的に協力していくつもりです。


―今後について。

 20年4月の1カ月で新規入院患者がいきなり250人、外来は300人も激減。手術件数は、年間で600例以上も減りました。その後ある程度回復し、21年には売り上げがプラスに転じる月も出始めましたが、前年度のマイナスは非常に大きかったと思います。

 感染に対応した職員には早い時期から手当を支給しており、勤務のつらさから辞める人は、ほぼ出ていません。しかし、問題は予定していた新中央病棟の建設です。20年3月の入札が延期。いったん中止して設計から見直すことにしました。設計金額を下げ、これから入札に入り、24年4月に稼働する予定です。

 新中央病棟の稼働と同時に、先進の医療が受けられる体制を整えていきます。ロボット支援下手術、ハイブリッド手術室も備え、地域の医療ニーズにしっかりと応えていきたいと思います。

 さらには、非接触やITの活用をさらに進めていきます。AI問診はすでに導入。非接触での対応が可能になるよう、顔認証による入退室管理も導入していきたいと思っています。コロナ禍によって進んでいなかったことが、動き始めています。いち早く導入し、働き方改革にもつなげていきたいと思います。


岐阜県立多治見病院
岐阜県多治見市前畑町5―161
☎0572―22―5311
https://www.tajimi-hospital.jp/

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