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生きる希望と楽しみ与えたい

生きる希望と楽しみ与えたい

信州大学医学部
工 穣 教授 (たくみ・ゆたか)
1994年弘前大学医学部卒業。
同大学医学部附属病院、大館市立総合病院、
信州大学医学部耳鼻咽喉科学教室准教授などを経て、2021年から現職。


◎一丸で「ミライ」創造

 当教室は1949年に開設され、聴覚や平衡覚を中心に研究してきました。耳鼻咽喉科が扱う領域は、頭頸部(けいぶ)外科領域を含めると首から上の脳と頸椎、眼球を除くほとんどで、非常に幅広いです。機能回復によるQOL改善の喜びを多くの患者さんへ提供できるよう、新たな特色を出したいと思っています。

 「患者さんを大切にし、耳鼻咽喉科のミライを創造する」をスローガンに、一丸となって研究・診療・教育に取り組みます。研究面では、「世界の人のためになる新規医療・機器開発」を目指して、新たなステージを切り開けるよう、ひらめきとアイデアを大切に頑張りたいと思います。

 診療面では、「生きる希望と楽しみ」をもたらせられるよう、患者さんと一緒に納得して治療に取り組むことを心掛けます。教育面では、「個を伸ばすキャリアアップ」を見える形で共有し、一人一人の能力・環境に基づいて複数のサブスペシャルティ習得を目指します。


◎幅広い手術の執刀、指導が強み

 私は日本頭頸部外科学会の頭頸部がん暫定指導医として、頭頸部腫瘍の手術・指導、頭頸部がん専門医を育成してきました。鼓室形成術や人工聴覚器手術の症例も多く経験し、2020年からは日本耳科学会の耳科手術暫定指導医として、手術・指導、耳科手術専門医を育成しています。

 反回神経まひに対する音声改善手術も行っており、たくさんの患者さんが音声を取り戻しています。頭頸部がん手術と耳科手術、そして音声改善手術まで執刀・指導できるのが私の強みです。

 当科が特に力を入れている三つの分野について特長を紹介します。

①中耳手術・人工聴覚器医療
 真珠腫性中耳炎、慢性中耳炎などへの鼓室形成術や耳硬化症に対するアブミ骨手術を年間約50例行っています。人工内耳を代表とする人工聴覚器医療は国内有数の症例数があり、新規機種の臨床治験・保険収載に取り組んできました。人工内耳以外にも、補聴器がうまく使えない方が人工聴覚器の中から適応するものを選んで手術をすることで、聞こえを取り戻すことが多くあります。

②音声改善手術
 当科では主に、甲状腺・肺・、大動脈瘤(りゅう)などで発症する反回神経まひに対する甲状軟骨形成術(Ⅰ型)と披裂軟骨内転術による音声改善を行っています。この二つを組み合わせることで声帯の張りが良くなり、より良い声が長く出せるようになります。

③頭頸部がん治療
 頭頸部がんは、解剖学的に話したり嚥下したりする所にできるので、比較的症状が出やすく、また目に付きやすい部位でもあります。手術による容姿の変化が目立ちやすく、機能障害が出やすいという問題点があります。
できるだけ機能障害を最小限にとどめるため、長時間かけて腫瘍摘出・頸部リンパ節郭清・形成外科による再建術を行っています。


◎常に患者の立場で

 耳鼻咽喉科の領域は、聞く・嗅ぐ・かむ・飲む・笑う・話すなど日常で使う機能をつかさどる器官が多く、自分自身でその機能や障害を実感できる利点があります。学生には、「常に自分自身の体の勉強でもあること」「常にその機能に障害がある場合の気持ち・立場になって勉強すること」などを忘れないようにと話しています。

 私が耳鼻咽喉科医としてのキャリアをスタートした際、「頭頸部外科領域を含む耳鼻咽喉科の幅広さや専門性の高さ・QOL改善の喜びを学び、自身も本領域全般の高い治療技術を備え、多くの患者さんを救える医師を目指す」と心に決めたことは、現在まで変わっていません。医局員にも、患者さんに「生きる希望と楽しみ」を与えられるような診療を心掛けるように伝えています。




信州大学医学部
長野県松本市旭3-1-1
☎️0263-35-4600(代表)
http://www.shinshu-jibi.jp/

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