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埼玉医科大学 整形外科・脊椎外科 意識改革で「考える力」を育てる

埼玉医科大学 整形外科・脊椎外科 意識改革で「考える力」を育てる

門野 夕峰 教授(かどの・ゆうほ)
1995年東京大学医学部卒業。米ペンシルベニア大学留学、
東京大学大学院医学系研究科外科学専攻感覚・運動機能医学講座整形外科学准教授などを経て、
2016年から現職。埼玉医科大学整形外科運営責任者兼任。

 先進医療から地域に密着した医療まで、幅広い領域をカバーしている埼玉医科大学整形外科・脊椎外科。門野夕峰教授は、時代に即した教室の在り方を見定めながら、教室員の自主性や積極性を引き出している。



―教室の特徴や強みは。

 伝統的に多くの股関節疾患を治療しており、股関節温存手術、人工股関節などは大きな強みの一つです。その他にも、特定機能病院として、リウマチ、脊椎・脊髄、膝、肩、足などの各グループが専門的な診療・臨床研究を行っています。

 一方で、地域医療も重視し、急性期から慢性期までの幅広い診療体制を構築しています。当大学国際医療センターの救命救急センターにも当教室から医師を派遣し、重度多発外傷患者の診療をしています。


―教授就任以来、力を入れてきたことは。

 重視してきたのは、教室員の意識を変えることです。私が教授に就任した2016年当時、教室員たちは全体的に遠慮がちで、私が海外の学会への参加を提案しても、謙遜して参加を断るようなケースもあり、せっかく努力しているのにもったいない、と感じました。

 そこで、前任教授の織田弘美氏に力添えをいただきながら、彼らの自主性や積極性を少しずつ引き出すようにしてきました。3~4年ほど経過して、ようやく若手が海外の学会で発表したり、論文が評価されたりするように。教室全体としての自信が徐々に付いてきたと感じています。

 同時に、この取り組みによって新たな強みが生まれました。以前は教科書や上司の言うことを素直に聞くメンバーが多く、それは良い面もあるのですが、新しい物事を生み出すという点では、少し物足りなさがありました。 私は教室員から質問を受けてもすぐに答えを言わず、自分で調べるように促しています。その結果、最近では「考える力」を持つようになりました。診療や研究を推進する上で、とても心強く感じています。


―教室運営で常に心掛けていることは。
   
 教室員のアイデアに対して、頭ごなしに「ノー」と言わないことです。そして、できる限り任せることです。

 例えば、外来で患者さんと信頼関係を築き、治療方針をしっかり考えている若手の医師には、その後の手術を担当してもらいます。もちろん、患者さんの不利益にならないラインを設定し、越えた場合は上司が引き取りますが、それ以外であれば、任せます。

 若手の成長を促すためにも、上の立場のスタッフが簡単に手を差し伸べることは控え、彼らの責任感やアイデアを尊重するように心掛けています。


―今後の展望は。

 当教室では各グループのリーダーが責任を持って診療・研究を遂行していますが、グループ間の横のつながりが少し弱いと感じています。互いに意見を出し合い、評価することで足りない部分が見つかるでしょうし、補えることもあるはず。今よりもさらに皆が集まる機会を設け、活発な議論をして教室の一体感をつくり上げたいですね。

 日本では医療の専門化・細分化が進み、医療従事者の姿勢も問われるようになってきました。今後、専門外のことには一切関心を寄せず、「自分は知らない」と話を片付けてしまう人が増えるのではないかと危惧しています。

 私自身も含め、当教室ではそのような思考にならず、これからも患者さんや地域の方々をトータルにケアしたい。専門から離れた事案でもしっかりと考え、関係先につなげるような取り組みを続けたいと思っています。

 開学と同時にスタートした当教室は、2022年に50周年を迎えます。一つの区切りと捉え、新たな気持ちで時代に即した教室運営を目指したいですね。



埼玉医科大学 ・脊椎外科
埼玉県毛呂山町毛呂本郷38 ☎049―276―1111(代表) http://www.saitama-med.ac.jp/uinfo/mseikei/

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