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認知症特化の病院として 高齢化時代に貢献

認知症特化の病院として 高齢化時代に貢献

医療法人社団祥和会 大川病院
大川 順司 理事長(おおかわ・じゅんじ)
2006年福岡大学医学部卒業。久留米大学医学部神経精神医学講座、
新門司病院、聖マリア病院、大川病院院長などを経て、2019年から現職。


 京築医療圏の精神科領域で主に高齢者の認知症治療を担っている大川病院。3代目理事長として2019年から指揮を執る大川順司氏は、さまざまな改革を進めている。

─病院の沿革と強みを。

 当院は1935年に福岡県豊前市で個人病院として開院し、2020年に85周年を迎えました。私の父である先代理事長が96年に認知症治療病棟を開設して以来、認知症に特化した病院として京築医療圏における精神医療を担っています。

 専門病棟の立ち上げには、当時の人口動態から超高齢社会の到来を予測し、それに対応した医療体制を整えておく必要があるとの判断があったと聞いています。現在では全240床の半分に当たる120床が認知症治療病棟で、精神一般病棟60床、精神療養病棟60床。また、外来の7〜8割が認知症関連の患者さんです。

 超高齢社会における認知症の治療では、早期発見が重要です。物忘れや徘徊(はいかい)などに家族が気づいた時、速やかに専門的な医療機関に相談できる仕組みづくりが必要。当院では豊前市の高齢者相談窓口である地域包括センターと連携し、周辺自治体(築上町・吉富町・上毛町)も含めた認知症初期集中支援チームの一員として、認知症の早期発見・早期治療に努めています。

 また、認知症の啓発活動のため、院内の多職種によるプロジェクトチームを立ち上げました。地域住民に理解を深めてもらう狙いで公民館や役場、地域サロンなどに出向き講演や寸劇をする他、フレイル予防のための体操教室に参加したり、役場主催の地域ケア会議に参加したりもしています。

 さらに、地域住民の最も身近な対談相手である民生委員に対する講演会やセミナーも実施。コロナ禍により会合の開催が難しい現在は、認知症サポート医を中心に多職種が協力し、地域のニーズに応じて認知症に関するビデオを制作・配信する他、オンラインでの会議も行っています。

 高齢の認知症患者さんの多くに、何らかの身体疾患があります。心身両面をケアするためには、精神科医だけではなく、他の診療科や近隣の医療機関との連携が不可欠で、地域全体で治療していく必要があります。

 当院では近隣の整形外科・皮膚科・歯科と連携しながら、地域完結型の医療を目指しています。特に皮膚科・歯科については連携する医療機関から当院に往診してもらう体制をとり、患者さんの負担を軽減しています。

 認知症に限らず、精神疾患一般においては、患者さんの人権を尊重することがとても大切です。当院では私をはじめ、医師や職員が認知症医療におけるケアメソッドの一つである「ユマニチュード」を学び、実践しています。

 専門的な研修を受けた人がその技術や技法を院内研修会で他の職員にフィードバック。「見る・話す・触れる・立つ」といった基本的な動作を通じて、症状が進んだ患者さんが人間らしさを失うことがないようなケアを心がけています。

─病院の将来像について。

 地域の精神科病院が果たすべき役割として、治療が必要な患者さんがいつでも専門の医療機関にアクセスできる体制を整えることが必要です。「診る医師がいない」というのが患者さんにとって最大のデメリット。そこで、優秀な精神科医師になるべく長く勤務してもらえるような環境を整えることと、人材の採用と育成に力を注いでいます。医師以外の職員のモチベーションアップを目的に、人事評価制度も導入しました。

 近年では京築地区に隣接する大分県中津市からの患者さんも積極的に受け入れています。認知症に特化した医療機関として、なるべく幅広いエリアをカバーして専門的な医療を提供することが、患者さんのメリットになると考えています。


医療法人社団祥和会 大川病院
福岡県豊前市四郎丸281
☎0979─82─2203(代表)
http://ookawahp.com/

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