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京都大学大学院医学研究科 精神医学 精神医学全体に対応できる 実践的な力を得る環境を

京都大学大学院医学研究科 精神医学 精神医学全体に対応できる 実践的な力を得る環境を

村井 俊哉 教授(むらい・としや)
1991年京都大学医学部卒業。
独マックス・プランク認知神経科学研究所、
京都大学医学部附属病院助手などを経て、2009年から現職。

  子どもから高齢者まで、精神科の疾患が広範となっている今、幅広く対応できる精神科医が求められている。若手の意欲を大切に、精神科医の育成に尽力する村井俊哉教授に話を聞いた。



―教室の特徴を。

 ひと昔前と様変わりし、今日の精神科は非常に広範な病気を扱う診療科になっています。子どもの病気から高齢者の病気まで、精神科単独で治療する病気から他診療科との連携で治療する病気まで、薬物療法が治療の中心になる病気から心理カウンセリングや生活支援が中心となる病気まで、その範囲の広がりを考えると、一つの診療科でこれほど多くのことに対応できるのか、と思うほどです。

 そのような状況の中で、当教室の強みは、臨床にせよ研究にせよ、一部の疾患に特化せず、この広い範囲の精神医学全体に対応していることです。臨床面では、外来も入院もあらゆる種類の精神疾患に対応し、地域医療への貢献はもちろんのこと、研修医や専攻医が実践的な力を身に付ける上では理想的な環境を提供できていると自負しています。
 研究面の幅広さは、一長一短といえるかもしれません。しかしながら、若手研究者にとっては、研究が面白い、と思えることこそが研究の成果につながるので、研究の効率性よりも、研究者のモチベーションを優先し、各人やりたいことがあれば遠慮せず裾野を広げていってもらっています。

 意外かもしれませんが、精神医学の研究は今、大量のデジタル・データを扱う時代に入っています。先端的なMRI画像研究が当教室の研究の大きな柱ですが、脳画像から得られる大量のデータを、アナログで個別性の高い「こころ」の状態とどうつなげるかが、大きなテーマとなっています。


―精神科医の課題は。

 臨床の力は、難しい症例を多く受け持ち、自身で責任を持った判断をすることで培われます。教科書的に病態の説明が難しい症例も含め、数多くの症例を受け持ってもらうことで、専攻医の3年間のうち1年間大学病院に勤めれば、一人前に精神科臨床をやっていける自信がつくような教育を心掛けています。

 精神科は夜間に緊急手術が入るような診療科ではありませんので、「働き方改革」のような長時間労働の問題は元来それほど深刻ではありません。しかしながら、精神科では、患者さんと医師のコミュニケーション自体が困難な症例、社会的な問題が絡み合い医学的な知識や技術だけではどうにもならない症例など、医療者のメンタル面に負荷のかかる場合が少なからず発生します。こうした場合の基本は「一人で抱え込まない」ことに尽きますので、上級医はもちろんのこと、教室全体としてサポートすることを徹底しています。


―今後は。

 精神科医を目指す人は、将来どういう医師になりたいか、どういうキャリアパスを描きたいかという点において、一人ひとり驚くほど違います。もともとは研究志向だった人が、キャリアの途中で地域医療に目覚めることもあります。人生は常に順調に進むわけではありませんので、キャリアを一時小休止せざるをえないことも起こりえます。

 教室員の平等性を重視するだけでは、多様なニーズに応えられません。また、皆がそもそも同じ方向を目指しているわけではないので、競争原理を持ち込むだけでも良いマネジメントはできません。教室員それぞれの多種多様な将来展望に、できる限りフィットするよう柔軟で細やかな人事・機会提供を行う。教室の長としてやれることはそのことに尽きると考えています。

 自分の好きなことができていれば人は幸せであり、幸せであれば高いパフォーマンスも発揮でき、患者さんのためになる医師であれる、といったシンプルな考えでマネジメントを心掛けています。


京都大学大学院医学研究科 精神医学
京都市左京区聖護院川原町54 ☎075―751―3111(代表) https://psychiatry.kuhp.kyoto-u.ac.jp/

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