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香川大学医学部 心臓血管外科学 強みを生かすチーム医療 同病棟で迅速に対応

香川大学医学部 心臓血管外科学 強みを生かすチーム医療 同病棟で迅速に対応

堀井 泰浩 教授(ほりい・たいこう)
1988年大阪医科大学医学部卒業。
社会福祉法人三井記念病院、京都大学医学部心臓血管外科、
葉山ハートセンター心臓血管外科科長などを経て、2006年から現職。

 患者を第一に考え、よりスピード感のある医療を―。香川大学の心臓血管外科学は、循環器内科、血管内科と共同で「心臓血管センター」を開設し、集学的診療の体制を整えてきた。センター長の堀井泰浩教授に、センターの特徴や地域が抱える課題について聞いた。

―「心臓血管センター」の特徴を教えてください。

 診療科の垣根を超えたシームレスな診療体制を構築するため、2014年、本大学医学部附属病院に「心臓血管センター」が開設されました。心臓血管外科と循環器内科、血管内科が同じ病棟内にあることが特徴で、内科で検査、外科で手術、内科で術後のリハビリを行う―といった流れがよりスムーズに、スピーディーになりました。同じ病棟内で一貫して診療ができるのは、チーム医療の実践の面でも非常に意義のあることです。

 治療において、あらゆる分野で循環器内科と連携することが増えています。例えば冠動脈の疾患について、内科のカテーテル治療と、外科の冠動脈バイパス術では、どちらが良いのかという難題に直面したら、チーム医療を実践しながら、常に患者さんにとって最良の選択をするようにしています。患者さんを第一に、診療科を超えて率直に話し合える土壌があることが強みです。

 地域で尽力されている先生方とも連携して、地域医療を維持していければと考えています。当センターでは、内科・外科が一体となった治療ができるので、ご相談いただければと思います。

―香川の心臓血管外科を取り巻く現状と課題は。

 香川県は高齢化が進行しており、「うどん県」ということもあってか、人口当たりの糖尿病の患者数も多いです。そのため、複数の合併症があるリスクの高い患者さんを多く診ることになります。

 現在、心臓血管外科医は、両極端のタスクを課されていると感じています。一方は、患者さんの負担を少なくしようとする低侵襲手術。低侵襲手術といっても、合併症のある患者さんが多いため、単純な手術では済まず、複合手術になるケースが多いのが実情です。

 もう一方は、あらゆる手段を使って、最大限の治療をしなくてはならないケース。現在は心臓移植や人工心臓を用いた治療に近い領域まで行っており、将来的には地域での治療完結を目指します。

 この両端の手術は難易度が高いため、両端の中間に当たる部分で教育面を充実させる必要があると考えています。しかし、地方では症例数が少ないため、どのように教育を充実させていくかは、難しい問題です。
 
 若手の育成では、手術手技を指導するだけでなく、心臓血管外科医は患者さんの命を守る最後の砦(とりで)でなければならない、ということを伝えるように心掛けています。言葉にして伝えるのではなく、姿勢や態度から学んでほしいと願っています。

―今後、目指すものは。

 20年から循環器内科が中心となり、植込型補助人工心臓のマネジメントを始めています。将来的には、植込型の人工心臓の治療を行うことで、地域での治療完結の実現に近付けられたらと思っています。

 香川県は全都道府県で面積が一番小さいです。小さいということは、機動力を高め、医療体制を一つにまとめやすい利点もあると考えています。この利点を生かし、それぞれの基幹病院でやっていることを、集約できたらと思っています。

 各医療機関とも限られた人員の中で、体制を懸命に維持しているのが現状ですが、集約で力を合わせれば、1日に複数の手術ができ、教育や研究も進展するはず。国の医療制度にも関わり、当講座だけでできることは限られていますが、若い人たちに負担だけが残る形にはしたくないという思いがあります。

香川大学医学部 心臓血管外科学
香川県三木町池戸1750─1 ☎087─898─5111(代表) http://www.med.kagawa-u.ac.jp/~cvs/

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