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より信頼される 病院を目指して

より信頼される 病院を目指して

愛媛大学医学部附属病院
杉山 隆 病院長 (すぎやま・たかし)
1988年関西医科大学医学部卒業。三重大学大学院医学系研究科准教授、
東北大学病院産科長・特命教授などを経て、2021年から現職。
愛媛大学大学院医学系研究科産科婦人科学教授兼任。


 県内唯一の特定機能病院として、高度かつ先進的な医療を提供している愛媛大学医学部附属病院。杉山隆氏は、就任直後から新型コロナへの対応に追われながらも、「さらに愛される愛大病院」を目指し、病院運営に取り組んでいる。


二つの命を守る 周産期に興味を抱く

 医師を目指すきっかけは、小学2年生の頃。開業医だった叔父の家を訪れ、その仕事ぶりに憧れを抱いた。「叔父は岡山県の田舎で開業しており、現在の訪問ケアのような活動もしていました。子どもながらに、人の役に立つ仕事をしていると感じて、次第に自分も『医師になりたい』と思うようになっていました」

 関西医科大学入学後、しばらくは消化器外科医を目指していた。しかし、産婦人科を見学した際、母親と胎児という二つの命を守ることに興味を持ち、周産期医療の道を進む。以降、約35年にわたって妊娠糖尿病をはじめとする妊娠中の栄養・代謝・内分泌に関する診療や研究を続け、数多くの功績を残してきた。

 「近年は、母体の環境に関する研究に取り組んでいます。母体の栄養が偏っていると、胎児の遺伝子発現に変化が生じ、将来の健康に影響を及ぼす可能性があります。これをどのように予防できるのか。基礎研究によるメカニズムの解明や、多施設と共同の大規模な臨床研究なども進めています」


協力を呼びかけた コロナ禍の記者会見

 愛媛大学医学部附属病院では、県内の新型コロナウイルス感染症重症患者の約8割を受け入れている。これまでの約1年間、院内に二つある集中治療室の一つをコロナ専用病棟に転換したのをはじめ、手術の延期、他病棟からのスタッフの応援などで、何とかしのいできた。しかし、2021年4月ごろから「第4波」に見舞われ、一気に苦しい状況へ追い込まれてしまった。

 「重症患者がこれ以上増えると、医療体制が保てない」と危機感を覚えた杉山氏は、医師会、県の協力を得て、マスコミなどに働きかけて、4月22日に共同記者会見の開催に踏み切った。県内および院内の窮状を訴えると同時に、県民に対して感染対策の徹底を呼びかけた。

 「会見では重症患者病床の回転を良くするため、『陰性化したものの人工呼吸器が外せない患者さんを、他施設で受け入れてほしい』と発信しました。おかげさまで、以降は何とか病床の回転を調整でき、県内の感染者数も減少してきました。6月末時点では比較的スムーズに対応できています」


病院運営の三本柱

 コロナ禍という嵐の中での船出となったが、杉山氏は病院が掲げる診療・教育・研究の各目標に向かって着実に進もうとしている。

 診療面では「愛媛県民に信頼され愛される病院」を目指し、県民に対して最新・高度かつ安全な医療を提供。院内のスタッフに対しても安心・安全な医療ができる環境を整えたいと語る。

 教育面で掲げるのは「患者の立場に立てる医療人の養成」だ。すでに全人的な医療を身に付けるため、医師に対しては卒前・卒後の一貫したカリキュラムを構築。また、総合臨床研修センターのシミュレーター、手術手技研修センターにおけるキャダバートレーニングは全国的な評価も高い。今後もこれらの強みを伸ばしたいという。

 研究面では、「愛媛で育ち、世界に羽ばたく医療の創造」を掲げる。先端医療創生センター(TRC)を中心として、さまざまな領域における橋渡し研究を推進しながら、臨床研究と基礎研究の連携による研究基盤の構築を目指している。

 「今後はTRCにバイオバンクを設立します。まずは、患者さんや地域コホート研究などで集めた『情報』をバンクに蓄積。それを共同研究に用いて、将来的には臨床へ応用できる体制を整えたいと考えています」



愛媛大学医学部附属病院
愛媛県東温市志津川454 ☎089ー964ー5111(代表)
https://www.hsp.ehime-u.ac.jp/

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