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千葉大学大学院 医学研究院 整形外科学 自主性を重んじて教室の存在感高める

千葉大学大学院 医学研究院 整形外科学 自主性を重んじて教室の存在感高める

大鳥 精司 教授(おおとり・せいじ)
1994年千葉大学医学部卒業。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校留学、千葉大学大学院医学研究院整形外科学准教授などを経て、
2016年から現職。千葉大学医学部附属病院副病院長兼任。

 千葉大学の整形外科学を率いる大鳥精司教授は、若手の自主性や働き方に対する考え方を尊重しながら、最先端の臨床や研究を行ってきた。近年では大規模で長期にわたるコホート研究にも積極的に取り組んでおり、今後もこれらの取り組みをアクティブに進めたいと語る。



―教授就任以来、力を入れてきたことは。

 人材確保を優先的に進めてきました。千葉県は人口に対して医師の数が少なく、整形外科医も同様の傾向があります。これを是正するため、当教室では多くの学生や研修医たちに整形外科の魅力を伝える取り組みをしています。

 情報発信では、教室のウェブサイトや動画投稿サイトを活用しています。プロスポーツのチームドクターを多数輩出していることを発信したり、高齢化が進む中で整形外科医が果たす役割が大きくなっていくことなどを啓発したりしています。

 その成果もあってか、ここ数年は入局者が増加傾向にあり、毎年20人程度が加わるようになってきました。


―教室の労働環境を改善するための工夫は。

 最近の若手の医師は、自分のプライベートの時間も大切にする傾向があると感じており、彼らの働き方にも注意を払っています。研究や趣味に充てる時間を確保できるように、カンファレンスは朝のみで、午後5時以降には行わないようにしています。カンファレンスは座った状態だと長時間化してしまうので、立ったまま行い、15〜20分以内に終了しています。

 女性医師のキャリア支援にも力を入れています。現在、国内の整形外科医は約2万1800人ですが、女性医師の割合は約5%とかなり低い。当教室では、育児や出産を経ても専門医を取得でき、留学も可能なシステムを構築して、女性医師に選んでもらえるような環境を整えています。

 働き方改革の面でも、これらの取り組みは今後さらに推進していきたいと思っています。


―健康寿命を延ばすために行っている研究は。

 2019年から、千葉県御宿町の協力を得て、「おんじゅくstudy」と名付けた大規模なコホート研究をスタートさせました。

 45歳以上の300~400人の町民を対象にして、毎年、筋肉量や骨密度、食生活の状況などを調べています。調査の狙いは、健康状態の変化を10年にわたって分析し、ロコモティブシンドロームになりやすい人の特徴を明らかにすること。御宿町は、人口の変動が少ないことから、調査対象地に選びました。

 研究を要介護や寝たきりを予防するための対策の展開につなげ、最終的には、その成果を千葉県、そして全国に還元することを目指しています。

 地域医療を支えることも当教室の使命です。県内を中心に関東、静岡、富山に関連病院があり、関節・脊椎などの専門性を持った医師をそろえて、患者さんのニーズに合わせた医療を提供しています。当大学病院と関連病院を合わせた年間の手術数は約4万5000件で、これは全国的にも多いと思います。

 サルコペニアやロコモティブシンドロームなどのコモンディジーズにも対応して、地域の皆さんの健康をサポートしています。


―育成面で心掛けていることを教えてください。

 当教室には約50の教育関連施設があり、プライマリ・ケアから最先端の研究まで、多彩な経験と知識を身に付けることができます。この大きな強みを生かして、世界に通用するような整形外科医を数多く育てていくことが、私の使命だと思っています。

 後進の育成で一番大切にしていることは、スタッフの自主性を重んじることです。それぞれの専門領域や研究テーマ、将来設計は個人に委ねて、強制しないようにしています。このような環境でないと、良いアイデアは生まれないと考えているからです。


―今後の展望は。

 最先端の臨床研究と基礎研究を両立するアグレッシブな教室を目指します。例えば、サルコペニアのメカニズムや、AIを使った画像診断のソフトウェア開発、iPS細胞を用いた血小板の再生医療など、現在行っている研究は多岐にわたりますが、これらをさらに深めていきたい。コホート研究に関しても、さらに大規模な体制で取り組みたいと思っています。

 昨今の新型コロナウイルスの感染拡大もあり、日本の医療界はやや守りの姿勢になっていると感じています。この状況を徐々に打開していくためにも、当教室の存在感を意識的に高めていきたいですね。

 私は20年から当大学病院の経営担当の副病院長を務めていますが、いかにして不要な経費を削減して経営を安定させるかが求められています。

 無駄がない効率の良い医療を提供することは、スタッフの働き方改革にもつながるはず。日課である毎朝の6㌔のジョギングで体力を維持しながら、病院経営に携わっていきたいと考えています。



千葉大学大学院 医学研究院 整形外科学
千葉市中央区亥鼻1―8―1 ☎043―222―7171(代表) http://www.ortho.m.chiba-u.jp/

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