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難病の診療周知 専門医創設志す

難病の診療周知 専門医創設志す

筑波大学 医学医療系 消化器内科
土屋 輝一郎 教授(つちや・きいちろう)

1995年山梨医科大学(現:山梨大学)医学部卒業。
東京医科歯科大学消化器内科准教授、
同大学潰瘍性大腸炎・クローン病先端治療センター副センター長などを経て、2021年から現職。


近年、患者数が増加している炎症性腸疾患(IBD)。土屋輝一郎教授は、長年この疾患の研究に携わり、専門医制度の創設も目指している。今後の目標や、教室運営の方向性について聞いた。

炎症性腸疾患 診療環境整備図る

 自身の専門分野は、潰瘍性大腸炎とクローン病に代表される、炎症性腸疾患(IBD)。2021年4月の教授就任を機に、茨城県内でのIBDの診療環境整備を目標に据えた。

 「IBDは、他領域のような専門医制度がまだなく、それぞれの医療機関が独自に標榜(ひょうぼう)している状況です。県内ではIBDの診療を標榜している医療機関がまだ少ないので、当大学附属病院が先駆けてIBDの専門的な診療ができることを周知していきたいと思っています」

 広く周知することで、他の医療機関からIBD患者の紹介を受けて診療を行い、難病の診療にも対応して、臨床から基礎研究へと発展させるサイクルをつくることを目指す。

 教授就任と時期を同じくして、IBDの専門医制度を創設する準備委員会の委員長を務めることになった。全国でIBDを専門とする医師や医療機関を「可視化」させるため、まずは県内の診療環境を整えていく予定だ。県内で成功すれば、モデルケースとして全国に発信していくことも想定している。

高度な技術持つ 専門医育成目指す

 教室の強みの一つとして、化学療法に精通した専門医の存在を挙げる。「腫瘍を例に取ると、スクリーニングから内視鏡治療、手術、さらに化学療法まで、他の診療科と連携しながらも、全て消化器内科医が診ることができるのが一番の強みで、維持していきたいと思っています」

 7月中に内視鏡を専門とする医師が着任する予定で、AIを用いた内視鏡の観察技術などを生かして、スクリーニングによる早期発見にも注力していく。臓器ごとに細分化・専門化が進む中で、自らの役割は、高度な医療を提供できるように各分野の専門医を育てることだと考えている。

 前任地の東京医科歯科大学は、新型コロナウイルス感染症の診療を最前線で行っていた。そこでの経験をもとに、マスクをせずに経口で行う消化器内視鏡診療について、感染リスクを下げる防御策や検査体制の強化を指導する必要性を感じているという。


皆で目標達成を スピード感を重視

 就任のあいさつでは、恩師である東京医科歯科大学副学長の渡邉守氏のモットーで、自身も大切にしている言葉「If you want to go fast , go alone」「 If you want to go far , go together」を教室員に紹介して、大きな目標を達成するために共に歩んでいきたいと伝えた。

 教室を率いる上で重視しているのは、人とのつながりやコミュニケーションを図ること。それを象徴するように、教授室のドアは開けたままにして、気軽に声をかけてもらいやすいようにしている。

 若い医師から進路相談を受けることも多い。これまで、「悩んでいる時間がもったいない」との思いから、自身が納得した道であればすぐに決断するように心掛けてきた。その経験から、「自分に正直になって、好きな道を進んだ方がいい」と伝えているという。

 「家庭の事情や生活のことを考えて、複数の選択肢で悩むと思いますが、一番大切なのは自分の気持ち。迷っていてもどこかで決断しないといけないので、早く決断することも重要だと思っています」。自身もスピード感を重視しながら、今後さまざまな改革に力を注いでいく。



筑波大学 医学医療系 消化器内科
茨城県つくば市天王台1-1-1 ☎029-853-3900(代表)
https://tsukuba-igaku-gastro.com/

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