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「地域」と「先進」 調和を求めて

「地域」と「先進」 調和を求めて


椎名 浩昭 (しいな・ひろあき)

1985年島根医科大学医学部(現:)卒業。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学後、島根大学医学部泌尿器科主任教授、
同医学部附属病院副病院長を経て、2021年から現職。島根大学理事(医療・附属病院担当)。


2021年4月、病院長に就任した椎名浩昭氏。先入観を持たず素直な心で臨む「虚心坦懐」を座右の銘に、「地域医療と先進医療が調和する大学病院」の実現に挑む。

救える命を必ず救う

 島根県で唯一の大学病院。求められるのは、地方の実情に応じた運営だ。「医療情勢を鑑みると、県内から近隣の県へ出る患者さんが一定数います。まずは、島根県でしっかり医療を完結できる体制を構築することを目指します」。特に鳥取県に隣接する松江医療圏への医師派遣を第一の課題と捉えている。

 「救える命を、必ず救う」ことも責務だと考えている。救急医療は、救命救急センターのほか、高度外傷センターやDiMCOC(災害医療・危機管理センター)が担う。「コロナ禍では、県と県立中央病院、大学が一斉に災害医療体制を整えて対応しました。全国的に見ても重症例が少ない理由の一つだと考えています」

 脳卒中ホットラインを開始した「高度脳卒中センター」には2021年秋に脳卒中ケアユニット(SCU)を新設。総合ハートセンターも備え、高度急性期への対応力を高める。

 救える命を救うため、進行がんの根治も目指す。「診療科を横断した集学的治療をさらに推進したい。高機能放射線治療施設の整備も進めており、2022年度中の治療開始を目指します」。CAR―T細胞療法などの先進的治療も始める予定だと言う。

 再始動したいのは、自身の専門で、現在は休止している腎移植だ。「次期教授も移植が専門。私も手術を完遂できるチームの育成に、少しでも役立てればと思っています」

正確な情報を集約し 不確実性を狭める

 就任後、幹部体制を再編、新たに研究・教育担当の副病院長を置いた。「臨床で生まれた疑問を基礎研究で解き明かし、臨床に生かして地域に還元する。その循環がなければ、『地域で医療完結』は実現できません。活性化に力を入れていくつもりです」

 病院長補佐も3人から12人に増員した。「准教授や基礎系の先生にも入ってもらいました。多様な意見、新しい着想に期待します」。正しい情報を集約し、不確実性を狭めることで、あるべき研究、治療の方向性を見いだしたいと話す。

 病院運営のキーワードは「納得と共感」。広く情報開示し、声を拾える体制を構築したいと言う。「私の役目は、壁を取り除くこと。診療科、職種間のひずみをなくすことです。利益に直接的に結びついていなくても、病院にいる全ての人に大事な役割があります。その総力を、人を救うことに集結させたい。大きなパワーになるはずです」

地域に根差す同期生 今が動くチャンス

 1985年に旧島根医科大学を卒業した4期生だ。「伝統校と違ってロールモデルがいない分、将来への不安はありましたね。同時に、将来の指標は私たちがつくるのだという意気込みも持っていました」
 月日が経ち、自身は卒業生初の病院長となった。さらに、大学の医学部長、県立中央病院の副院長、県健康福祉部の医療統括監も同期生が務める。「病院の枠を越えた横のつながりが強まりました。今までできなかったことに挑戦できるチャンスです。より広い視野に立って、県民や地域の人が本当に望む医療を実現していきたい。逆に言えば、期待を裏切ることは決して許されないということです」と姿勢を正す。
 同志とも手を携えて、島根県の医療を前進させる―。その目標に向かって一歩、踏み出したところだ。




島根県出雲市塩冶町89-1 ☎0853-23-2111(代表)
https://www.med.shimane-u.ac.jp/hospital/

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