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札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座 最先端と地域医療を両立、遠隔医療モデルを世界へ

札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座 最先端と地域医療を両立、遠隔医療モデルを世界へ

竹政 伊知朗 教授(たけまさ・いちろうう)
1993年大阪医科大学医学部卒業。
奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科特別研究員、
大阪大学大学院医学系研究科消化器外科講師などを経て、2015年から現職。

  大腸がんなどのロボット支援下手術で実績を積んできた竹政伊知朗教授は、札幌医科大学への就任以来、「北の地から世界に通用する医療の発信」を目標に据え、地域医療との両立を目指している。現在注力しているのは、遠隔医療支援システムを用いた「北海道モデル」の確立だ。


─臨床・研究面での特徴は。

 私が教授に就任した2015年からがん治療を強化しています。中でも大腸がんは手術件数が増えています。以前は年間80例程度でしたが、2020年には約230例に。このうち直腸がんの手術は121例で、当講座の大きな特徴となっています。

 現在、大腸がん手術の98%は腹腔鏡下手術とロボット支援下手術による低侵襲手術を実施しています。根治性が高く、排便・排尿・性機能などの温存も期待できるロボット支援下手術には力を入れており、附属病院にはロボット2台と専用の手術室を設置しています。また、手術だけでなく免疫チェックポイント阻害剤や抗がん剤、放射線治療なども積極的に行い、集学的治療で患者さんの健康寿命を延ばすことを目指しています。

 研究に関しては、数多くの臨床試験に加え、最近ではヨーロッパのグループと共同で人工知能を用いた直腸がんの自動診断などの研究にも取り組んでいます。患者さんに役立つ研究とは何かを常に考えながら、北海道から世界に向けて最先端の医療を発信し続けたいと思っています。


─地域の課題と、遠隔医療支援システムについて。

 北海道は広大で、札幌や旭川などの都市部とそれ以外の地方の医療格差が非常に大きくなっています。道内の隅々にまで専門的な医療を行き渡らせるためには、多くの課題があります。

 解決する手段の一つだと考えているのが、遠隔医療支援システムの構築です。ベンチャー企業と共に、双方向でリアルタイムに配信される映像と音声をもとに遠隔地の医師に手術の手技を指導できるシステムの構築を目指しています。

 現在は、映像と音声のタイムラグを減らしてリアルタイムに近付けることに取り組んでいて、実現できれば、地方で働く医師にも最先端の医療に触れてもらうことができる。結果として、地域全体の治療成績も向上するでしょう。

 ロボット支援下手術を含めた遠隔医療を「北海道モデル」として確立させ、新しい地域医療の形を全国に発信したいと考えています。いずれは日本だけでなく、同じように医療過疎や医療格差の問題を抱えている国にも広げたい。政府が推進する医療機器・サービスの輸出でも、重要な役割を担えるかもしれません。


─人材育成で心掛けていることは。

 全国的な傾向として、外科を志望する医学生が減っている中、私は若い人が夢を持てるような指導を心掛けています。例えば、ロボット支援下手術や研究などに早い段階から関与させて、最先端で未来につながる医療に触れてもらうことを意識しています。

 一方、地域医療に貢献する医師を育てることも重要な使命です。大学での専門的な医療は、地域で求められている医療と一致しにくい面もありますが、いかに融合させて若手に興味を持ってもらうか。特に注意を払いながら取り組んでいるところです。

 北海道には優しく、おおらかな人が多いと感じています。もちろん、それは良いことですが、個人的には積極性がやや足りないという印象もあります。若手には積極的に道外へ出て、新しいことにチャレンジをしてほしい。いずれは、その成果を北海道に持ち帰ってほしいと願っています。

 今後も北海道の地でできることを精いっぱいしながら、夢や希望のあるプロジェクトに興味を持って一緒に情熱を注いでくれる若い医師を育てていきます。


札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座
札幌市中央区南1条西16―291 ☎011―611―2111(代表) 
https://sapmed-surg1.jp/

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