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笑顔と誇りで 地域医療充実図る

笑顔と誇りで 地域医療充実図る

日本大学医学部附属板橋病院
髙橋 悟 病院長(たかはし・さとる)

1985年群馬大学医学部卒業。
国家公務員共済組合連合会虎の門病院、東京大学医学部泌尿器科助教授などを経て、
2021年から現職。日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野主任教授兼任。


コロナ禍に病院長に就任した髙橋悟氏は、先進医療と新型コロナウイルス感染症の診療の両立を目標に掲げている。髙橋氏が力を注ぐ、地域医療を充実させるための取り組みとは―。

通常診療と両立 コロナ教訓生かす

 4月に日本大学医学部附属板橋病院の病院長に就任して真っ先に着手したのは、コロナ病床の増設だった。一般病床のうち、95床をコロナ専用の50床に変え、空調や感染防止設備を導入する大規模な改修工事を実施した。同時に、それまで院内で分散していたコロナ病床を1カ所に集約。重症患者用の6床はICUに残し、それ以外のコロナ病床をまとめることで、職員の安全確保と業務効率化を図った。

 築50年以上が経過した病院建屋の感染対策上の構造的な弱点を補強し、ICT(感染制御実践チーム)のコントロールが行き届く環境になるよう整備。1~2月、院内でクラスターが発生した際の教訓を生かした。3月以降、6月中旬現在まで院内での感染は確認されていない。

 これまでは、特定機能病院として高度先進医療を優先し、コロナ診療には消極的な部分もあったという。地域の中核病院として果たすべき役割があると考え、就任後は方針を転換。現在は「通常診療とコロナ診療の両立」を掲げている。

 「当院は大学病院の本院としては珍しく、病院名に『板橋』が付いています。地域名を掲げて地域と共に歩んできました。地域医療への貢献という観点から、コロナ診療も積極的に行うべきだと考えています」

救急隊へワクチン 自ら発案し、実現

 ゴールデンウイーク中には、16人の医師、看護師らと近隣の消防署を訪れ、救急隊員約400人にコロナのワクチン接種を無償で行った。4月上旬、板橋消防署の署長から「救急隊員へのワクチン接種が進んでいない」との実情を聞いたのがきっかけだった。

 「救急隊員は患者さんと近い距離でさまざまな対処をするため感染リスクが高い。クラスターの発生で救命救急医療の体制に支障が出てしまえば、地域医療が崩壊してしまう」と考え、東京消防庁などに打診して実現にこぎつけた。ワクチンは同院の職員や日本大学の医学部生への接種で余ったものを有効活用した。

 自身も救急隊員への問診や接種を行い、「誰かがやるだろうではなく、できる人ができる範囲のことをする。助け合いの精神でやったまでです」と振り返る。


スピード感重視 「迷うならやる」

 これまで、何事もスピード感を重視して取り組んできた。6月からは医師の当直を廃止し、夜勤に切り替えた。当直から夜勤への切り替えは院内でも是非が長く議論されてきたが、病院長就任を機に実行に踏み切った。2024年に医師にも時間外労働の上限規制が適用されることを踏まえ、先行した形だ。

 「当直で負担を強いられる若い医師からの要望が多く、どうせやらなければいけないのなら、今やってしまおうと決めました。やりながら改善を重ねます」

 さらに、「患者サービスと職場環境の向上」「医療連携推進」「業務適正化」の三つについてのワーキンググループを新たに設置し、病院執行部会の直属とした。メンバーは女性や若手、事務職のほか、外部の専門家や関係機関など多種多様で、患者目線での改革を進めていく。

 「やるかやらないか、迷うくらいならやる。職員が笑顔とプライドを持って働ける組織にします」と語る髙橋氏。院内外で地域医療を支えてくれている人たちのために、前向きで迅速な意思決定を続けていく。



日本大学医学部附属板橋病院
東京都板橋区大谷口上町30-1 ☎03-3972-8111(代表)
https://www.itabashi.med.nihon-u.ac.jp/

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