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京都府立医科大学 脳神経外科学教室 最先端の技術で人格、精神守る医療を

京都府立医科大学 脳神経外科学教室 最先端の技術で人格、精神守る医療を

橋本 直哉 教授(はしもと・なおや)
1990年京都府立医科大学医学部卒業。
大阪大学大学院医学系研究科准教授などを経て、2015年から現職。
京都府立医科大学副学長、同大学附属病院中央手術部長兼任。

  世界トップレベルの脳神経外科医療を地域住民に提供するため、救急から高難度手術まで幅広く実践している。「命を助けるだけでなく、人格や精神を守りたい」と強調する橋本直哉教授に、脳神経外科を取り巻く現状や教室の特徴を聞いた。


─教室の概要について教えてください。

 脳神経外科の基本となる分野を網羅して学べる体制を整えています。患者数が多い脳卒中のほか、脳腫瘍や脳・脊髄の外傷などの脳神経外科、・脊髄外科、てんかんやパーキンソン病を扱う機能外科があります。

 当教室には、脊髄・脊椎外科や血管内治療、脳卒中、がん治療などの分野の指導医や認定医がいるので、後期研修からはサブスペシャルティ領域を中心に専門性を深めていきます。

 臨床では、世界トップレベルの脳神経外科医療を提供するため、脳機能の温存を目的とした脳腫瘍の覚醒下手術など難易度の高い手術をコンスタントに行っています。脳卒中や外傷などは、救急医療部と連携して救急医療の一端も担っています。

 京都府の北部と南部を含め医療をいかに充実させるかは、当大学の重要な使命です。必要な時は私たちが駆けつけてフォローするなど、地域で安心して脳神経外科医療を受けられるように努力しています。小児の症例が多いことと、・脊髄外科にも強みがあることも当教室の特徴です。

 研究はそれぞれの分野で行っていますが、力を入れているのは、悪性脳腫瘍の新規免疫療法の臨床試験です。免疫療法は、手術、、化学療法に次ぐ治療の第4の柱に位置付けられており、より集学的な治療を目指した基礎研究、臨床研究を行っています。


─脳神経外科医療を取り巻く現状は。

 脳や神経は、人格や精神をもつかさどるものです。私が医師になった30年ほど前は、くも膜下出血や脳卒中で亡くなる方が多く、脳腫瘍を患う子どもたちをたくさんみとりました。現在は医学が進歩したため、命を助けるだけでなく、いかに後遺症を少なくして、その人らしい人生を全うしてもらえるか、ということが焦点になっています。

 2021年版の高齢社会白書によると、要介護者の介護が必要になった主な原因は、認知症に次いで脳血管疾患(脳卒中)が2番目に多い。脳卒中の死亡率は下がっていますが、超高齢社会でいかに要介護者を減らすかという意味でも、脳神経外科医が果たす役割は大きいのです。

 手術だけで正常な脳機能を取り戻すのは難しく、リハビリテーションが非常に重要になっています。当院にはリハビリテーション部があるので、脳卒中手術の翌日から専門医や療法士が出向き、早期にリハビリを始めます。術後も、リハビリの専門医、セラピストやケアマネジャーと協働して患者さんを支えていく必要があります。


─今後の展望は。

 パーキンソン病やうつ病などの外科治療として、欧米ではニューロモデュレーション分野の臨床試験が盛んに行われています。今後、倫理的に許される範囲で、力を入れていきたいと考えています。 小児の脳腫瘍についても、さまざまな研究を通して完治を目指したい。脳卒中については、コイリングなどの血管内治療が今後も進展していくことが予想されるので、当教室としても注力します。

 脳神経学は元来論理的で、MRIやCTで病巣を可視化することができる分野。自分の目で診断し、自分の手で治療し、患者さんの脳、人格を取り戻すという意味で、非常にやりがいがあります。
 
 まだまだ治らない疾患もあり、脳そのものも複雑で未解明の部分が多いです。これから脳神経外科医を目指す若い方々には、「一緒に頑張っていきましょう」と声を掛けたいですね。


京都府立医科大学 脳神経外科学教室 
京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465 ☎075─251─5111(代表) 
http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/neuro/

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