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「助けたい」を 原点に

「助けたい」を 原点に

神戸大学大学院医学研究科 内科系講座 小児科学分野
野津 寛大 教授(のづ・かんだい)

1997年神戸大学医学部卒業。
姫路赤十字病院、米ウィスコンシン医科大学、
神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野
こども急性疾患学部門特命教授などを経て、2021年から現職。


小児科医として、基礎研究・臨床研究に力を入れ、遺伝性腎疾患の診断、治療法開発で成果を上げてきた。2021年6月に母校・神戸大学の教授に就任した野津寛大氏に、これまでの歩みと今後の抱負を聞いた。

生まれ育った街で 子どもたちのために

 神戸生まれの神戸育ち。精神科医である父の影響で、物心ついた時から医師になるものだと考えていた。「他にはないやりがいがあると感じ、入学した時から小児科医を目指していました。難しい病気を治療すると、子どもがちゃんと成長していく。その喜びが原動力です」

 医局に入ってからの道のりは、3人の歴代教授によって開かれた。1人目は、学生時代に指導を受けた、新生児医療のパイオニアである中村肇氏。核酸医薬の生みの親である松尾雅文氏には、遺伝学的研究のノウハウを教わった。そして、難治性ネフローゼ症候群の治療法開発で知られる飯島一誠氏は、小児腎臓学分野に導いてくれた恩人だ。

 基礎的な研究の知識と技術を学んだ上で、小児腎臓学の世界に進めたことは、非常に幸運だったと振り返る。「遺伝性腎疾患は非常に難しい病気で、診断をつけることすらも簡単ではありません。松尾先生の下で築いた研究基盤のおかげで、質の高い遺伝子診断ができる体制をいち早く整えることができました。今では全国から検体が集まり、年間500件以上の遺伝子診断を行っています」

 特異的な治療法がなかったアルポート症候群に対して、核酸医薬を用いた新規治療法開発を行い、数年以内に臨床応用できるめどがついた。遺伝性腎疾患診療では、重要な役割を担っていきたいと語る。

臨床に結び付く 新規治療法開発を

 子どもたちを助けたいという思いを原点に「臨床に結び付く研究、子どもたちを助けるための研究をすること」に取り組んでいる。

 「子どもの病気は、本人に全く非がない、体質や遺伝性のものがほとんど。生活習慣などの環境要因による個人差がないため、治療法を開発すると、同じ病気を持つ人に同じ成果が上がります。その治療法の開発に医師としてのやりがいを感じます」。今後も、基礎研究と臨床研究の両輪で研究を進める体制を維持し、新規治療法の開発を進めていく方針だ。「難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブを用いた治療法開発など、難しい臨床試験を成功させ、エビデンスを確立させてきた歴史がある教室です。今後も、そういったエビデンスをつくる側でありたいですね」

 医局には、医師34人が所属し、新生児、神経代謝内分泌筋肉、血液腫瘍、腎臓の4グループがそれぞれ緊張感を持って臨床・研究に取り組んでいる。これからも、各グループのトップに信頼を置き、密にコミュニケーションを取っていきたいと考えている。

県内の小児医療全体に貢献

 大学はもちろん、兵庫県内の小児医療全体にも目を配る立場。各地域の小児救急体制に目を配り、少しでも良い仕組みづくりを目指していきたい考えだ。

 関連病院をはじめとする医療機関や診療所とも、より連携を深める道を模索している。「コロナ禍で小児科の患者さんは激減し、特にインフルエンザ患者が減った冬期には大打撃を受けていました。同門会でのつながりに加えて、兵庫県小児科医会にも足を運んで、何かお役に立てることがあればと声を掛けています」

 休日は、中学生の息子とバスケットボールに興じる。「大学はもちろん、兵庫県内の小児医療全体が良くなるように力を尽くしたい」。フットワークの軽さとチームワークで、オール兵庫としての勝利を目指す。



神戸大学大学院医学研究科 内科系講座 小児科学分野
神戸市中央区楠町7ー5ー1 ☎078ー382ー5111(代表)
https://www.med.kobe-u.ac.jp/pediat/

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