九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

一体感育み 笑顔で寄り添う

一体感育み 笑顔で寄り添う

独立行政法人 東徳島医療センター
井内 新 院長(いうち・あらた)

1983年関西医科大学医学部卒業。徳島大学医学部第二内科講師、
徳島県立三好病院内科医長、東徳島医療センター副院長などを経て、2021年から現職。


徳島市にほど近い徳島県板野町にある東徳島医療センターは、独自の強みを生かした病院運営で地域医療への貢献を目指している。新院長の井内新氏は、コロナ禍でも前向きに未来像を描く。

コロナ禍での就任 地域との絆を実感

 2021年4月に前院長からバトンを受け取った矢先、徳島県内で新型コロナウイルス感染症の感染者数が急増し、対応に追われた。院内にコロナの専用病棟を設け、看護体制を見直すなど、今までにない病院運営を強いられて、苦労も多かったという。

 一方で、地域とのつながりを実感する機会にもなった。「一般・救急病床を40床ほど減らし、手術も一時中断しました。地域の先生方には迷惑をかけて申し訳ない気持ちでしたが、皆さんから『頑張ってください』と励ましの言葉をかけてもらい、ほっとしました。今後も地域の先生方はもちろん、自治体や徳島大学とも良い協力関係を継続させていきます」

 受診控えで減少した外来患者数をどのように回復させるかなど課題も多いが、コロナ禍を、「新しい何かを創造できるチャンス」とも捉えている。収束後のアフターコロナにおける病院運営はどのようにしていくべきか。地域医療構想はこれまでと同じ形で良いのか―。苦労の中で得ている教訓を、未来へ前向きに生かそうとしている。

心身障がい児(者)ケア 人材確保に注力

 副院長時代には、院内の多職種で構成される「未来を考える会」の中心メンバーとして、病院理念を表すキャッチフレーズの制定などに取り組んだ。キャッチフレーズは院内で公募し、複数の候補の中で9割以上の職員が支持した「やさしい笑顔と よりそう医療」を採用した。

 「どのような病院にしていきたいかを全員で一から考えて、進んで行くべき方向性を定めることができた」と、「考える会」の取り組みの成果を語る。コロナへの対応でも、一丸となって取り組む職員たちの姿に、心強さを感じたという。

 呼吸器疾患、結核医療などが強み。276床を備える五つの病棟では、重症心身障がい児(者)への医療も担っている。この特長をさらに伸ばすためには、重症心身障がい児(者)への医療に関わる人材の確保と育成が課題の一つだ。

 現在は社会医学実習などを通して、医学部生が障がい児や障がい者に接して関心を持ってもらえるような機会を設けている。

臨床研究が契機 一人ひとり大切に

 徳島県阿波町(現:阿波市)出身。静岡大学工学部で情報工学系の勉強をしていたが、コンピューターよりも人と接する仕事が自分には合うのではないかと医師を志し、関西医科大学医学部を受験した。少し遠回りしたものの、「結果的に当時の判断は間違っていなかったですね」と笑顔を見せる。

 卒業後は、徳島大学医学部第二内科学教室に入局。1989年ごろからは、「経食道心エコー法」を用いて、肺静脈の血流などを調べる研究に取り組んだ。最近は、心機能の中でも特に左房機能についての研究を継続している。

 「臨床研究では、症例数を多く集めることも大切ですが、それぞれの患者さん一人ひとりについて、しっかりと評価できなければ新しい知見は得られません」

 この臨床研究を通じて、「患者さん一人ひとりを大切にすること」を常に心掛けてきた。院長となった今もその思いは変わらず、後進に対しても、「トラブルを避けて自分や病院を守ろうと消極的になるのではなく、患者さんに積極的に向き合って信頼関係を築いてほしい」と願っている。



独立行政法人 東徳島医療センター
徳島県板野町大寺大向北1-1 ☎088-672-1171(代表)
https://higashitokushima.hosp.go.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる