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子どもを守る 新たな仕組みを

子どもを守る 新たな仕組みを

福岡大学医学部 小児科
永光 信一郎 主任教授(ながみつ・しんいちろう)

1990年福岡大学医学部卒業、久留米大学医学部小児科入局。
米ベイラー医科大学神経内科、久留米大学医学部小児科准教授などを経て、
2021年4月から現職。


小児科医として、子どもの心の問題を支援してきた永光信一郎氏。2021年4月に、母校である福岡大学医学部小児科の主任教授に就任した。これからの医局運営や後進の育成、就任の抱負などを聞いた。

子どもの心を支える ゲートキーパーに

 31年ぶりに母校に戻り、次世代の小児科医を育成する立場になった。専門分野は小児心身医学と小児神経で、2020年9月には、日本小児心身医学会理事長にも就任した。

 校内暴力や不登校、いじめ、発達障害、虐待など、子どもの心の問題は表面化してきているが、解決されないまま、新たな課題が次々に生まれている。

 「子どもの心のゲートキーパーは、かかりつけ医です。医師の熱意や努力に委ねるのではなく、かかりつけ医と大学病院が連携できるシステムを構築して、本人や家族が安心して相談できる仕組みをつくりたいと思います」。紹介や逆紹介、コンサルテーションで密接に連携し、発達障害など、さまざまな子どもの心の問題に対応できる担い手を増やしたいと考えている。

 子どもをbiopsychosocial(身体的・精神的・社会的)な存在として捉え、身体的な側面だけでなく、心理・社会的な側面が病気の発症に関わっていることに注目。健康な子が病気にならないように支援するヘルスプロモーションの一環として、心理や社会面に重点を置いた思春期健診の実施を提唱している。悩みを抱く中高生と医療をつなぐ次世代型医療支援アプリの開発にも着手し、積極的なアプローチを展開していく予定だ。

ビジョンを示して 個々の成長を促す

 医局運営のトップとして、教室に何が求められ、何を目指すのかというビジョンを、はっきり示すことが重要だと強調する。

 「少子化によって子ども一人ひとりの尊厳と権利がますます大切になっていく社会の中で、小児科医であること、新生児科医であることを誇りに思えるような研修・教育体制を築いていきたいと思っています。そのためには、各人が到達度や到達目標を決めて、評価することが大切だと考えています」

 医局員には、国内外留学などで視野を広げ、所属する組織や自分自身を見直すことを勧めている。「小児科は特定の臓器を診るのではなく、体全体を診ていく総合医。子どもだけでなく、家族や社会とも関わっていくことに、小児科医の魅力とやりがいがあると伝えています」


地域の小児医療を守る 仕組みづくりを

 大学として、地域医療にどう貢献できるのか。「かかりつけ医との連携を深めることで、病院として地域医療を支え、そして一人ひとりの医師を支えていきたいと考えています。子どもの心の問題における病診連携は、日本小児科医会とも協働し、福岡だけでなく、全国でどのようなシステムの構築が可能かを検討しています」

 また、小児神経疾患や小児血液疾患など、治療技術が進展している分野では、高度な最先端の医療を提供していくことで、地域医療の受け皿となる体制を整えていく考えだ。

 近年は小児医療の発展により、従来の感染症疾患は激減しているものの、アレルギー性疾患や慢性疾患、メンタルヘルスといった新たな疾患への対応が求められている。「医療提供体制が変化し、新型コロナウイルス感染症の影響で、不登校の増加や自殺リスクが高まっています。子どもたちの心の診療に対応でき、入院治療も可能な拠点病院の役割は、より大きくなっていきます。今後も、子どもやその家族の気持ちを大切にしながら進んでいきたいと思います」



福岡大学医学部 小児科
福岡市城南区七隈7ー45ー1 ☎092ー801ー1011(代表)
https://fukudai-shounika.net/

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