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地域のニーズに応える 精神科医療を

地域のニーズに応える 精神科医療を

医療法人鴻池会 秋津鴻池病院
岸本 年史 院長(きしもと・としふみ)

1981年奈良県立医科大学医学部卒業。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校、奈良県立医科大学精神医学講座教授、
同大学附属病院精神医療センター長などを経て、2021年から現職。


医療法人鴻池会の中核を担う秋津鴻池病院の新院長に2021年4月、奈良県立医科大学精神医学講座で教授を務めた岸本年史氏が就任した。経験と実績を生かし、地域ニーズに応える診療を目指す。

地域の問題に挑む

 秋津鴻池病院は、精神科423床、内科121床。鴻池会が運営する介護老人保健施設などと連携し、地域での自立した生活を支える医療を提供している。「内科では地域包括ケア病床、回復期リハビリテーション病床、療養病床を有し、地域医療を支える役割を担っています」。就任後から徐々に、内科の稼働率が上がっているという。ベッドが空いている限り、「断らない」姿勢を貫く。

 精神科は、認知症などの高齢者、統合失調症の患者が多いものの、現在、地域が求める精神科の医療ニーズが変化してきているという。「子どもの不登校、発達障害、ゲーム依存、いじめといった問題に悩む家族が増えてきており、サポートできる医療体制をつくっていきたいと思っています」。これまでのリハビリに加えて、精神療法や認知行動療法なども、積極的に取り組んでいく。

 子どもたちを対象にした、専門医による診療も、スタートさせたばかりだ。「診療は毎週土曜で、家族も一緒に診察が可能です。先日、医師会の先生に説明したところ、『子どもの診療が始まるなら紹介したい』という声をいただきました」。新たな診療を始めることで、地域に理解が生まれ、より開かれた病院になることを期待する。

教授として25年

 奈良県立医科大学精神医学講座で25年教授を務め、特に精神科救急に取り組んだ。「2000年から24時間365日のスーパー救急を実施し、自傷他害の恐れがある患者さんなどを引き受けてきました」

 研究は、細胞電気制御。脳の発達が精神疾患にどのように影響するのか、脳のどの部位に問題があると認知症などの脳障害が起きるのかといった研究を行ってきた。教授退官直前の20年12月には、研究に不可欠なシーメンス社の3テスラMRIを導入するなど、臨床や研究で多大な功績を残す。

 一方で、学生や研修医への教育にも力を注ぎ、『精神科研修ハンドブック』などの著書もある。「いまだに続く精神障害者に対する偏見をなくすには、医療者がまず正しい知識を得ることです。そのためにも、丁寧な教育を心掛けてきました。

精神科医のあるべき姿とは

 もともとは外科志望だったが、自分は向いていないと精神科の道へ。「最初は患者さんの話を聞くのも苦手。外科的な思考から、幻覚や妄想も、薬で治ると簡単に思っていました」

 教授に就任した時に、入局してきた医局員の一人が「患者さんは面白いことを言う」と話してきたことが印象に残っているという。

 「それまで、患者さんの話を変とは思っても、『面白い』という視点で捉えていませんでした。こういう人が精神科医に向いているのだろうと…。すでに教授でしたが、精神科医とはどうあるべきなのか、本当の意味での勉強が、ここから始まったと思います」。今では患者の苦しみや悲しみに寄り添い、精神疾患における遺伝子や環境との関わりについて、さらに研究を進めている。

 精神科医療とはどうあるべきなのか、長年、奈良県全体に関わってきた経験を、今後も生かしていくという。「秋津鴻池病院の強みは、長い期間、地域に根付いていることです。患者さんの信頼を大切に、現状に甘えることなく、最新の治療を提供し、常に地域のニーズに応えていく必要があります。地域の開業医、総合病院などと連携し、地域全体の医療レベルの向上を目指していきます」



医療法人鴻池会 秋津鴻池病院
奈良県御所市池之内1064 ☎0745ー63ー0601(代表)
https://www.kounoikekai.com/akitsu/

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