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地域の中で 必要とされる病院に

地域の中で 必要とされる病院に

独立行政法人国立病院機構
力武 一久 院長(りきたけ・かずひさ)

1988年大分医科大学(現:大分大学)医学部卒業。
福岡徳洲会病院、佐賀医科大学医学部附属病院胸部心臓血管外科、
嬉野医療センター統括診療部長、同副院長などを経て、2021年から現職。


 2021年、嬉野医療センターの院長に力武一久氏が就任した。開業予定の九州新幹線「嬉野温泉駅」前に、2019年に移転新築した病院のかじ取りを担うに当たり、「地域の中で必要とされる病院を目指す」と意欲を見せる。

患者案内システムで初めてでもスムーズ

 2022年の暫定開業が決定した九州新幹線長崎ルートの新駅「嬉野温泉駅」が目の前。温泉地のイメージに合わせ、和風の要素を取り入れた外観が目を引く。

 「新病院は、患者さんに優しい空間を目指しました。例えば外来診療は、ワンフロアで完結する合理的な『ホスピタルループ』を実現。さらには、患者案内システムを導入し、カード型受信機を患者さんに渡していましたが、コロナ禍の現在はスマートフォンのLINEを活用。初めての診察でも迷うことなく、案内される表示に従って検査、診療、会計まで行うことができます」

 高度急性期医療をはじめ、急性期の循環器疾患に関する専門治療のほか、がん診療連携拠点病院、地域災害拠点病院などの役割も担う。「新駅開設がこの地域の医療体制にどのような影響を与えるかは未知数です。しかし、県内10市のうち唯一鉄道がなかった当市だけに、これを医療拡充の契機とし、住民の期待に応えていきます」

心臓外科医を目指して

 佐賀県伊万里市生まれ。小学5年生の時、父親が自宅前で自動車事故に遭うという忘れられない体験をした。

 「救急車で病院に運ばれて行く光景を、ガタガタ震えながら見ていました。病室を訪れると、複雑骨折した父の腰から下は内出血で真っ黒。治らないと思いましたが、病院スタッフの手厚い治療により、父は快方に向かいました。医師や看護師さんは不可能を可能にする超人のように感じられ、医学を志すきっかけの一つになりましたね」

 大分医科大学(現:大分大学)医学部へ。進むべき領域の選択に迷っていた頃、心臓手術を見学し、進路を見つけた。「外科医が慣れた手つきで胸骨の中央を、開胸器と呼ばれる器具で縦に2分して左右に広げ、鼓動する心臓を初めて見ました。冷静に観察していたものの、心臓にメスが入り何本ものチューブを人工心肺に接続し、鼓動を停止させる段階に至った時、さすがに不安を感じました」

 手術は約2時間で終了。外科医が冷静に心筋保護法を施すと、何事もなかったかのように再び鼓動した。「心停止は人の死を意味します。その瀬戸際で治療に当たる神業的な手技に憧れを感じ、自信はなかったものの心臓外科医の道を選択。気づくと手術は現在、2000例を超えています。感慨深いものがあります」

 小さな頃から楽器に親しみ、手先が器用だったことが、外科医に合っていたのかもしれないと言う。「学生時代はフォークギターも弾き、学祭では当時の人気グループの楽曲を友人と演奏したことがあります。思い出すと今も赤面します」

診療科間が連携し 互いに信頼し合う

 地域の医療ニーズに、従来以上に的確に応えていくことが目標の一つ。「例えば心臓手術が行える県内の医療機関は限られており、病院間の連携が欠かせません。隣接する長崎県、福岡県との連携強化とともに、地域特性なども十分に考慮した医療を展開します」

 同センターの強みは、診療科間の垣根がないことで、それが最大の魅力と言い切る。「常勤医約80人、研修医約20人、合計約100人の医師が互いに信頼し、医局では常にミニカンファレンスを実施。外科系診療科でも合同手術が頻繁に実施されています。新病院になっても中身が変わらないと意味がありません。地域に必要とされる病院を目指して、全員一丸で努力します」

独立行政法人国立病院機構 嬉野医療センター
佐賀県嬉野市嬉野町下宿甲4279ー3  ☎︎0954ー43ー1120(代表)
https://ureshino.hosp.go.jp/

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