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富山大学学術研究部医学系 神経精神医学講座 地域医療への貢献と早期診断・治療を推進

富山大学学術研究部医学系 神経精神医学講座 地域医療への貢献と早期診断・治療を推進

富山大学学術研究部医学系 神経精神医学講座
鈴木 道雄 教授(すずき・みちお)
11984年金沢大学医学部卒業。
スウェーデン・カロリンスカ研究所留学、富山医科薬科大学(現:富山大学)助教授、
富山大学大学院医学薬学研究部神経精神医学教授などを経て、2019年から現職。


 富山大学の神経精神医学講座は、統合失調症の臨床・研究を中心に幅広い領域をカバーし、地域医療に貢献している。鈴木道雄教授が掲げる目標は、早期診断・治療を推進して患者の予後を向上させることだ。

―講座の特徴は。

 診療面では、富山県唯一の大学病院の精神科として、地域医療への貢献を常に意識しています。基本的に精神疾患全般を偏りなくカバーしており、県内の精神科の救急輪番にも参加しています。

 また、地域の医療機関では対処が難しい患者さんをご紹介いただき、専門的な診療を行っています。例えば、難治性のうつ病や統合失調症の患者さんに対する修正型電気けいれん療法、治療抵抗性統合失調症のクロザピンによる治療のほか、身体合併症の患者さんも積極的に受け入れています。他の診療科の医師や、多職種との連携を密にしながら対応に当たっています。

 さらに、統合失調症の研究に力を入れていることも特徴の一つです。重症の患者さんは社会生活に大きな支障を来し、慢性化することも多いため、ご家族や支援者にも大きな負担がかかります。当講座では早期診断・早期治療による予後の向上を目標に掲げて臨床と研究の両輪で進めており、研究内容は脳画像診断や神経生理学的研究を中心に、多岐にわたります。

―「おぶせスタディ」の取り組みについて。

 信州大学医学部附属病院での治療以外にも、同院リハビリテーション部、県北部の小布施町、特定医療法人新生病院と共同で、14年から運動器健康疫学調査「おぶせスタディ」を行っています。住民基本台帳から無作為抽出した50歳以上の町民について、栄養状態や運動能力、骨関節の変性や骨密度などを詳細に調べ、寝たきり・要介護予備群とされるロコモティブシンドロームやフレイルの実態について調査を進めています。

 2017年に第1期調査が終了し、その成果を複数の学会や海外学術雑誌(13編)に発表。2021年度から第2期調査を開始させる予定です。

―教育・人材育成で心掛けていることは。

 2020年度から、初期臨床研修の必修科目に精神科が再び加わりました。当講座では、全ての研修医に対し、精神科の各疾患のことや、患者さんへの対応の仕方など、必要最低限のエッセンスを明確に伝えるようにしています。将来的に精神科を選ばないとしても、精神科への理解を深めてほしいからです。

 3年間の専門医研修では、地域に信頼され、活躍できる精神科医を養成するためのプログラムを用意。県内外にある連携施設の指導医らとコミュニケーションを取り、研究面などの指導も行いながら、全体として充実した研修になるように取り組んでいます。

―富山における精神科医療の現状と課題は。

 現在、国内の精神科医は増加傾向にありますが、富山では不足していて、中でも強制入院などを判断できる精神保健指定医の資格を持つ医師が少ないことは大きな問題です。富山で働く精神科医を確保し、指定医を多くの病院に配置するためにも、当講座が教育面で果たすべき役割は大きいと捉えています。

 一方、地域の医療機関との関係は良好です。富山は地理的にコンパクトで、患者さんも行き来しやすいので、スムーズな連携体制が構築できています。引き続き、互いに協力しながら地域医療を充実させていきたいと思っています。

―これからの目標は。

 当講座に限らず、最近は研究に取り組む若い医師が減っていると感じています。もちろん、臨床志向は大切なことで、それ自体は否定しません。研究は手間暇がかかり、自分の時間を削られると感じるのかもしれません。また、精神科の研究は臨床にすぐには還元できないことも多く、やりがいを感じにくい側面があるかもしれません。

 それでも、考え方が柔軟な若い時に一定期間は研究に取り組んでほしいと思っていて、研究に集中できる体制を構築することが目標の一つです。

 加えて、統合失調症以外の疾患も含め、早期診断・早期治療の推進は今後も重要なテーマ。日常生活で不適応の兆候が見られるなど発症前の段階から関与して、悪化を防ぐ的確な対処につなげられればと思っています。各疾患を早期に診断できる技術の開発についても、臨床と研究の両面からアプローチしていきたい。患者さんの予後を今まで以上に改善させることを目指します。

富山大学学術研究部医学系 神経精神医学講座
富山市杉谷2630
☎076―434―2281(代表)
http://www.med.u-toyama.ac.jp/neuropsychiatry/

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