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どう考える?withコロナの「広報戦略」

どう考える?withコロナの「広報戦略」

「会えない時代」を見通す

 新型コロナウイルス感染症の流行から1年以上が経過した。

 受診控えなどもあり、外来入院患者数や人間ドック受診者は減少。独立行政法人福祉医療機構の「病院経営動向調査」によると、回答した278病院のうち、半数の病院で、医業収益(2020年4月実績〜2021年2月見込み)が前年度比で1割以上減少するなど、病院の収益にも大きな影響が出ている。

 「患者に選ばれるには?」「知ってもらうには?」…。改めて病院の「広報戦略」への関心が高まっている。Evidence Based PR(根拠に基づいた広報)の観点から、患者や医療職に選ばれるための病院広報を議論する「病院マーケティングサミットJAPAN」の代表理事、竹田陽介氏は、「病院広報は、目先の集患だけでなく、医療人として社会全体への情報発信を意識することで、地域における長期的なブランディングにつながる」と指摘する。その真意を聞いた。

有意義な接点を組み合わせる
病院マーケティングサミットJAPAN 代表理事 竹田陽介 氏

【たけだ・ようすけ】2006年、獨協医科大学医学部卒業。
順天堂大学医学部附属病院、獨協医科大学附属病院、東京工業大学を経て、2014年から株式会社Vitaly代表取締役。同社先端医療コミュニケーション研究所所長兼任。

ーそもそも、「病院広報」とは。

 病院が患者・家族、紹介元医療機関、院内スタッフたちに対して、自らが「どのような医療を目指し、またそれを体現しているのか」を示すためのコミュニケーションであり、たとえ直接の病院収益につながらなかったとしても、病院組織全体で取り組むべき「医療人としての誠意」だと思っています。

 病院長は、まず地域や社会における自院の存在意義(Purpose)を明確にし、「自分たちは、医療を通じて、どのように地域社会に貢献しているのか?」という視点から、組織全体で共有すべき広報コンセプトを設定する必要があります。そして院内各部署がコンセプトに沿って広報活動に取り組むためのチームビルディング(全部署が関わる広報委員会)を行い、定期的な戦略会議で各部署の広報アウトプットを評価(EBPRの視点から自院にもたらした便益を定量評価)することが重要です。広報に関わったスタッフ全員に「頑張ったかいがあった」と手応えを感じてもらい、院内スタッフが自発的に広報に参画し、さらに院外に拡散してくれる文化が醸成されるようなポジティブフィードバックを促します。

―コロナによって、広報の難しさを感じている病院もあるようです。

 コロナによって「対面コミュニケーション」の広報機会は大きく減り、「そうやすやすと患者や紹介元に会えない時代」になったと言えます。

 以前のように、対面で人を集める公開講座や医療連携の会合などができなくなった分、いかに「会えなくても近いコミュニケーション」を増やしていくかが病院広報に求められています。患者や紹介元の自院への親和性を高めるために「会えなくても近い」をどう設計するか、広報ターゲットを意識してタッチポイントの表面積を最大化する施策を組んでいくことが広報担当者には求められます(=下表参照)。

 タッチポイントと合わせて、ターゲット(患者、紹介元、求職者)の親和性を上げる広報施策の鍵は「コンテンツ(情報発信の内容)」の魅力です。コンテンツづくりの肝は、「画面の先、印刷物の前にいる生身の人間は誰か?」の視点から逆算して、いかに現場の熱量を相手に伝えられるかどうかです。同じ専門診療紹介のコンテンツであっても、伝えたい相手が患者か紹介元かで、情報の出し方は全く変わってきます。

 相手は誰か?というコミュニケーションの本質に立ち返れば、無理にSNSや動画など「はやり」を使う必要はありません。たとえば、「電話(タッチポイント)」による「執刀医から紹介元への手術報告(コンテンツ)」は、今も昔も確実に外科症例の紹介数を大きく改善します。外科の集患が課題となっている施設には、ぜひ「手術直後に執刀医から一本電話を入れてもらう」ことを徹底していただければと思います。

 コロナという大きな逆境をチャンスと捉え、自院の広報戦略を「人to人のコミュニケーション」の視点から進化させてください。

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