九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

コロナを機に組織一丸 新体制で最高水準の医療へ

コロナを機に組織一丸 新体制で最高水準の医療へ

東京医科歯科大学医学部附属病院
内田 信一 病院長(うちだ・しんいち)
1985年東京医科歯科大学医学部卒業。
武蔵野赤十字病院、米ジョンズホプキンス大学、
東京医科歯科大学医学部附属病院副病院長などを経て、2020年から現職。


 新型コロナウイルス感染症の猛威まっただ中で病院長に就任した内田信一氏。数々の難局をチーム医療で乗り越えながら、通常診療とコロナ対応の両立、地域医療連携のあるべき姿を模索してきた。

─コロナ禍での病院長就任から1年を振り返って。

 未知の状況で第1波を迎えて、2波、3波と続き、変異株拡大の第4波。まるでドラマを見るかのように予期せぬことが次々と起きて、それらに対応するのに精いっぱいでした。病院長として何かを目指すなどとは言っていられなかったというのが率直な印象です。

 当初はマンパワーや設備が圧倒的に足りず、特に防護具不足の問題が大きかった。マスクさえ手に入らず、みんな本当にきつかったと思います。先が見えない状況を、知恵を出し合って乗り越えてきました。職員一人一人に医療人としての矜持(きょうじ)、使命感があったからこそ、やってこられたのだと思います。

 本来なら特定機能病院として高度先進医療を優先するところを、コロナ対応を最優先としました。国立大学の附属病院として今果たすべき役割は、感染爆発の防止だと考えたからです。田中雄二郎学長のリーダーシップのもと、赤字覚悟で、コロナ専用の診療環境をハードとソフトの両面から整えてきました。

 また、従来は幹部のみで開いていた毎朝の会議を、120人近い職員が参加できるウェブ会議に変えました。重要な情報が現場に直接届き、現場の意見も集まりやすい。危機管理上の迅速な意思決定につながっています。

―関連病院や行政との連携、課題は。

 病床の回転率を上げるため、治療を終えた軽快患者の転院を円滑化する「後方支援医療機関連携コンソーシアム」を本学と日本医科大学、東京大学の3大学病院で立ち上げました。調整本部を東大病院に置き、各大学病院からの転院希望患者数と、23ある後方支援医療機関の受け入れ可能数などの情報を集約、搬送先のマッチングを行っています。

 一方、重症患者については、都の新型コロナ入院調整本部からの要請に応じて受け入れています。ただし、がんや心疾患など、通常診るべき患者さんの治療が大幅に遅れている。重症患者が今の3倍になれば一般救急も回らなくなります。

 コロナと非コロナの患者受け入れ割合を調整し、本来の高度医療が行き届くような体制構築が急務です。地域全体の医療連携のもと、各病院の役割をいま一度明らかにして機能分担する、それを行政主導で強力に推進していく必要性を強く感じています。

―組織の変化について。

 コロナ禍にあって一つ良かったことは、大学病院にありがちな縦割り構造に風穴が開いたことです。診療科間の風通しが非常に良くなりました。コロナという外圧に対し、一丸となって立ち向かうという機運が高まっています。
 当院は、2021年10月、歯学部附属病院と合併し、「東京医科歯科大学病院」として新たにスタートします。長く別の医療機関として分かれていたので、ここにも弊害がありました。同じ大学の附属病院でありながら、互いのことをあまり知らず、「近くて遠い病院」になってしまったのです。

 そこに、コロナ対応で一体感が生まれました。歯学部の医師たちもたくさん協力してくれて、大学としても、病院としても、一つになる大きなきっかけとなりました 。

 20年4月には感染症に特化した講座が当大学の大学院に新設されました。次のパンデミックに備えた高度な感染症研究が期待されています。今、目指すのは、医科歯科連携と感染症対策を含んだ世界最高水準のトータルヘルスケア。組織を一体化して社会貢献力を強化していきます。

東京医科歯科大学医学部附属病院
東京都文京区湯島1─5─45
☎03─3813─6111(代表)
https://www.tmd.ac.jp/medhospital/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる