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「退院前後訪問指導」で 地域への橋渡し機能を強化

「退院前後訪問指導」で 地域への橋渡し機能を強化

島根県立中央病院
小阪 真二 病院長(こさか・しんじ)

1986年京都大学医学部卒業。仏トゥールーズ大学ピュルパン病院、
島根県立中央病院副院長兼情報システム管理室長などを経て、
2017年から現職。しまね医療情報ネットワーク協会理事兼任。


 高度急性期医療を担う島根県立中央病院の小阪真二病院長は、「地域医療支援プロジェクト」を立ち上げ、急性期病院から在宅へのシームレスな連携を目指す「退院前後訪問指導」を実施。不足する医師をはじめ、人材育成にも力を入れている。

─「退院前後訪問指導」の内容やその目的は。

 急性期病院の役割は現在、在院日数の短縮とともに、高度な医療処置を必要とする患者さん以外の早期在宅復帰を図ることです。

 在宅療養の場となる家庭の状況は千差万別です。山間地が多い島根県の場合、車から降りて家までのわずかな距離でも急な坂で危険が伴ったり、玄関先に手すりがなかったり、段差があったりなどの問題があります。そこで、入退院支援・地域医療連携センターにて、「退院前後訪問指導」を実施。看護師や医療ソーシャルワーカーが患者さんのご自宅に訪問して療養環境を確認し、必要な場合は、在宅療養ではなく、回復期リハビリの病院へ転院するなど、必要な準備や指導を行っています。

 支援策の決定に当たっては、県内の病院・診療所、薬局、介護事業所などが参加し、患者さんの診療情報を共有するNPO法人しまね医療情報ネットワーク協会の「まめネット」を利用しています。テレビ会議などを通じて、訪問した際に記録した動画をもとに、主治医を含めた関係者が検討し、退院調整を行います。

 地域の実情やニーズに応じた医療を提供することは、県立病院の役割です。急性期と在宅療養の橋渡しとなる「退院前後訪問指導」を今後も続けていきます。

─若手医師の育成にも力を入れています。

 県全体の課題の一つが医師不足です。打開するための有効な手を打ちたいのですが、なかなか難しいのが現状です。地域枠を活用した人材は順調に増えてはいるものの、一人前の医師になるにはまだ時間がかかる上、若い医師の場合は先進医療を好む傾向があり、大学や規模の大きな病院に残ることを希望します。

 地方で必要とされるのは、体全体を診る総合診療医です。そこで、若い医師に総合診療医を目指してもらうための育成プログラムをさらに充実させようと、当院独自の「総合診療医育成プログラム」の立ち上げを考えています。

 問題は、当院の規模で総合診療が可能かということ。方法の一つとして、整形外科、耳鼻咽喉科、眼科などにおいて、全身管理を必要とする治療の場合は、総合診療医が担当するといったプログラムを模索しています。

今後の病院運営は。

病院長就任当初、経営の赤字部分をいかに減らすかと考えた時、即効性を求めるのではなく、意識改革を行うことが大切ではないかと考えました。職員は十分に働いているのですが、経営の改善にまではつながっていない印象でした。まずは、職員が自立的に動けるようになること。最近では、この考えが徐々に浸透し、各部署のリーダーがそれぞれに力を発揮しながら、強い組織になってきていると実感しています。

 働き方改革も大きな課題です。3次救急を担っているためこれまで当直は必然でしたが、労働基準法の定める宿直の許可基準を満たしていないと是正勧告を受け、2021年4月から変則交代勤務を取り入れました。子育て世代の職員に対しては、業務委託になりますが、院内保育所を2010年から設置し、職員が安心して働ける環境づくりに努めています。

 院内のホールやギャラリーなどには、院内保育所の子どもたちの絵を飾っており、職員や市民の心を和ませています。市民がこの病院を「自分たちの病院」と思ってもらわなければ医療は始まりません。「地域に愛される病院」を念頭に、今後も取り組んでいきたいと思います。

島根県立中央病院
島根県出雲市姫原4―1―1
☎0853―22―5111(代表)
https://www.spch.izumo.shimane.jp/

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