九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

総合診療部の機能を拡充 「オール佐賀」で医師を育成

総合診療部の機能を拡充 「オール佐賀」で医師を育成

佐賀大学医学部附属病院
山下 秀一 病院長(やました・しゅういち)

1984年宮崎医科大学(現:宮崎大学)医学部卒業。
堀川町山下内科呼吸器科医院院長、宮崎大学医学部附属病院第3内科病院教授、
佐賀大学医学部附属病院副病院長などを経て、2016年から現職。同総合診療部教授兼任。


 「高度医療技術の開発研究」「良き医療人の養成」「地域医療への貢献」を掲げ、佐賀大学医学部附属病院を率いてきた山下秀一病院長。2021年で就任6年目を迎える。県内の高度医療を担う大学病院としてのこれまでの取り組みと今後の方向性を聞いた。

─再整備事業の見通しを。

 2011年からスタートし、10年が経過した当院の再整備事業も、残すところ外来棟のみとなりました。エントランスの増改築が終了し、現在は診察室や医事課などの整備を行っています。あと3年で完了すると思います。

 工期の長期化の要因は、東日本大震災の発生に加え、東京五輪開催決定による建築資材の高騰によって経費が当初の予定よりオーバーし、資金補填(ほてん)のために工事を一時中断せざるを得なくなったことです。

 6年を限度とする本学の任期のルールに従い、2022年3月、院長を退任します。工事完了を病院の外から眺めることになるのが、少々心残りです。とはいえ、大学病院にふさわしい先進的な医療設備が整う新病棟や治療棟などが稼働しており、県民の医療ニーズに応える高度急性期病院の新たな土台を築くという使命は、果たせたと考えています。

─就任時の目標の達成は。

 「高度医療技術の開発研究」では、人工透析を繰り返して硬くなった患者さんのシャントを、患者さん自身の皮膚細胞から培養し、バイオ3Dプリンターで作製した細胞製人工血管を用いる臨床研究など、注目の研究が進行しています。

 「良き医療人の養成」では、その実現に欠かせないものの一つに、先進的な医療機器の拡充があります。新型の手術支援ロボット「ダビンチXi」や、最新型CT放射線治療システム(リニアック)の導入決定を果たし、県内の高度医療を支える環境を整えることができました。私が所属する総合診療部においては、学会発表にも積極的で、助教以上は全員学位を取得しています。私が就任した頃に比べて、意識が変わってきたと実感しています。

─総合診療部が病院運営をリードする意義を。

 佐賀県はそれほど広くないにもかかわらず、救急車が病院に到着するまでの時間が30分以上、受け入れる病院を探すのにかなりの時間がかかっているというケースが、非常に多く報告されています。

 救急搬送の困難例は、総合内科医不足の証拠の一つ。プライマリ・ケアや家庭医療だけでなく、重症にも対応できる総合内科医を育てることは、大学や3次救急を担う大きな病院の使命です。トレーニングができる場をしっかりと確保した上で、県内の医療機関に派遣し、地域のニーズにしっかりと応える。佐賀においては、この「地域医療への貢献」が実現できていると感じています。

 大学病院における総合診療部の立ち位置は、縁の下の力持ち。有能な脇役がいてこそ主役が引き立つ、というのは映画やドラマの中ばかりとは限りません。脇役として主役を支えるマインドを持った総合内科医は、さまざまな診療科の医師やスタッフと良い関係を築き、仕事を遂行する能力を持っています。

 その総合診療部を任されてきた経験をもとに、私が当院を運営し、間もなく任期を全うする地点までたどり着くことができたのは、脇役には脇役としての大切な役割と能力があることを、実務の中で内外に示すことができたからだと思います。

 今後の佐賀における課題の一つは医師の確保。佐賀県で学び、働き、活躍する「志」と「誇り」を持った医師を育てることを目標に、県委託講座「SAGA ドクターSプロジェクト」が2021年4月、本学においてスタートしました。私はもちろん、「オール佐賀」の体制で、医師の育成・定着をサポートしていきます。

佐賀大学医学部附属病院
佐賀市鍋島5―1―1
☎0952―31―6511(代表)
https://www.hospital.med.saga-u.ac.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる