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診療「三本柱」で県境またぐ地域医療担う

診療「三本柱」で県境またぐ地域医療担う


折田 博之 院長(おりた・ひろゆき)

1987年九州大学医学部卒業。米ハーバード大学医学部研究員、
佐賀県立病院好生館(現:佐賀県医療センター好生館)消化器外科部長、
製鉄記念八幡病院外科部長などを経て、2021年から現職。


 大分県の中津市立中津市民病院は、同県北部と福岡県の京築地域の地域医療を担う中核病院だ。限られた病床数の中で、どのようにして県境をまたぐ地域医療を支えているのか。折田博之院長に、これまでの取り組みと今後の展望を聞いた。

─特徴を教えてください。

 病床数は250床で、大分県北部だけでなく、福岡県の京築地域からも患者さんを広く受け入れています。診療においては「3本柱」があり、一つ目は主に生活習慣病の循環器、消化器疾患の高度医療で、胆膵(すい)内視鏡(ERCP)などの内視鏡治療に力を入れています。

 二つ目は、地域がん診療連携拠点病院として、多職種で全人的なサポート体制を整えて、不安なくがん治療を受けてもらえるようにしていることです。化学療法の件数は年間4000件近くに上ります。

 最後の柱は、小児・周産期医療です。前院長時代の2017年に、「中津市立小児救急センター」を設立し、24時間の小児医療体制を確立しました。午後7~10時は近隣の小児科に応援をお願いし、それ以外の時間は当院の小児科が担当しています。

 救急では、年間約2400台の救急車を受け入れています。当院には整形外科の医師が現在はいないため、例えば交通事故による外傷の搬送があった場合には、当院で頭部や胸部、腹部に異常がないかを確認した後、中津市内の整形外科病院に転送しています。

 同様に、重症患者さんについては状態を安定させた後にドクターヘリで大分大学医学部附属病院に搬送するなど、限られた病床数の中で他の医療機関と連携して救命に努めています。

─コロナ禍での対応は。

 当院は感染症指定医療機関ではありませんが、公立の中核病院として新型コロナウイルス感染症の患者さんを受け入れました。大分県は第1波、2波では感染者が多くなかったので、当初確保した5床でやりくりしていました。第3波の際には中津市でもクラスターが発生したため、16床まで増やし、最大で11人受け入れ、21年4月末までに約40人の治療をしてきました。

 対応の際に工夫しているのは、他機関と通信アプリの「LINE」を活用して情報共有していることです。感染症指定医療機関や保健所の所長らが入るグループで、感染者が多い時期には毎日午前8時に各機関が状況を報告しています。

 私は地域のベッドコントロールの責任者を務めていて、リアルタイムに情報共有することによって、例えば「うちが引き取りましょう」「そろそろ退院できそうです」などと意思疎通が円滑に進み、限られた地域の病床を有効に活用する上で非常に役立ちました。

─今後は。

 当院は地域の中核病院としてさまざまな役割を期待されており、可能な限りその期待に応えたいと思っています。
 それを実現するための喫緊の課題は人材確保で、多くの人材を集めるためには働きやすい職場づくりが欠かせません。有給休暇を取得しやすいシステムや、夜勤明けの医師がしっかり休める体制の整備が必要だと考えています。

 さらに、組織を活気づける若い研修医が来てくれるように、積極的に説明会の場を設けたり、見学に来てもらったりしています。研修医の定員は5人ですが、近年は定員を上回る応募があり、この取り組みは継続していきたいと思っています。

 現在は初期研修医の希望者が増えていますが、今後は後期研修医にも来てもらえるよう、当院で研修することのメリットをアピールしていきたい。規模が小さいので、外科では全診療科の手術に関わることができ、内科もさまざまな疾患の患者さんを救急で受け入れているので、多種多様な症例を経験するのに適した場であると思います。

中津市立中津市民病院
大分県中津市下池永173
☎0979─22─2480(代表)
https://www.city-nakatsu.jp/hospital/

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