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3病院で機能分化 市民にさらに貢献

3病院で機能分化 市民にさらに貢献

名古屋市立大学病院
間瀬 光人 病院長(ませ・みつひと)

1985年名古屋市立大学医学部卒業。英国立神経病院脳神経外科留学、
名古屋市立大学大学院医学研究科神経機能回復学(脳神経外科)助教授、
同大学病院副院長などを経て、2021年から現職。同大学医学部脳神経外科教授兼任。

 名古屋市立大学病院の病院長に就任した間瀬光人氏は、今春同大学の附属病院になった2病院との機能分化や救急医療の強化、労働環境の整備を目標に掲げる。達成するために、どのように組織を率いていくのか。

機能分化、費用削減 役割大きさ痛感

 2021年4月、副院長から病院長に就任した。「責任の重さを痛感する日々」と就任後の約2カ月を振り返るように、果たすべき役割は大きい。

 病院長就任と時期を同じくして、今春、名古屋市の市立病院だった東部医療センターと西部医療センターが、安定的な医師確保などを理由に名古屋市立大学の附属病院となった。

 同大学病院を含めた3病院の病床数は約1800床で、国公立の大学病院としては全国最大規模に。スケールメリットを生かし、東部医療センターは救急医療や感染症医療、心臓手術、西部医療センターは集学的がん治療や分娩(ぶんべん)・周産期医療など、2病院と共に附属病院群として機能分化とコスト削減、臨床研究の推進を図って市民の期待に応えていく役割を担うことになった。

高度救急を強化 新拠点整備を主導

 同大学病院が機能分化でさらに強化していくのが、救急と災害医療だ。高齢化に伴って名古屋市内の救急搬送の件数は増加することが予想されており、南海トラフ地震などの災害医療を含めた新拠点として、「救急・災害医療センター(仮称)」の建設計画を進めている。8階建て、延べ床面積約2万8000平方㍍の新病棟で、25年の開所を目指している。

 1フロアに診療機能を集約させるのが特徴で、新型コロナウイルス感染症への対応で得た教訓も生かす。10室のERは陰圧仕様にして、感染症対応時でも全体を閉鎖せずに1室ごとに稼働できるように設計に盛り込んだ。

 センターの建設は、間瀬氏が副院長時代から力を入れて取り組む事業の一つ。現在は担当副院長を置かず、「救急、災害時の最後の砦(とりで)として機能させることで、市民に大きく貢献したい」との思いから、院長直轄で指揮を執る。

 職員の労働環境改善も注力していく。出産、育児、介護などのライフステージに応じて職員が柔軟に働ける制度の導入を目指し、病院長補佐に、働き方改革を推進する労働環境担当を設けた。担当を新設したのは、コロナへの対応も含めた職員の日々の奮闘ぶりに制度を充実させることで応えるため。その根底には、「使命感だけに頼るのには限界があり、職員が幸せじゃないと患者さんを幸せにすることはできない」という思いがある。

 3病院間では、これまでも患者の紹介や電子カルテの共有などをしてきたが、今後、より連携を強化する。そのために、毎月3病院の病院長らが集う合同会議を開催。例えば、医療機器の購入では、単に価格が安い機器を3病院で統一して導入するのではなく、各病院の強みを生かすことにつながるかを念頭に、検討するという。

 それぞれ別の機種を導入した場合は、情報交換をしたり、新たな研究へ生かしたりするなど、コストの削減だけにとらわれず、附属病院群全体の発展につながる方向性を模索していく。合同会議では財政面や人員配置などについて、看護部や事務方を含めてさまざまなアイデアを持ち寄っており、「コミュニケーションがよく取れていて、いい方向に進むという希望感がある」と語る。

 同大学医学部を卒業後、英国留学などを経て、母校に戻り、1998年に脳神経外科の講師に。医師人生の半分以上を同大学の発展と共に歩んできた。同大学の強みを、「地元に密着し、学生に対してはアットホームな雰囲気で、市民からも親しまれていること」と捉えている。

過程丁寧に説明 使命果たす組織に

 脳神経外科の教授としても、病院長としても、組織を率いる上で大切にしていることがある。決定事項だけでなく、意思決定の過程をできる限り伝え、理解を得られるよう努力を怠らないことだ。

 コロナへの対応では、通常診療との両立で業務量が増す職員に対し、病院としての方向性をなぜそうしたか、感染状況に応じてどう変更するかを丁寧に説明するよう心掛けているという。光が当たる機会の少ないコロナ以外の業務に従事している職員に対しては、より労い、評価する姿勢で向き合っている。

 意思決定の過程では、反対意見を歓迎する。「皆が遠慮してなんとなく決めると、最終的に破綻する。議論の最初の段階で既定路線に縛られず率直に意見を述べてくれる『ちゃぶ台返し』があれば、皆の意見が出て、それを踏まえた一つの結論が導き出せる」との狙いがある。反対意見を踏まえた意思決定や、意思決定の過程を開示するプロセスを日々積み重ねることでより強固な組織にして、「高度な医療を提供して、市民に貢献する」という使命の実現を目指す。

名古屋市立大学病院
名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1
☎052-851-5511(代表)
https://w3hosp.med.nagoya-cu.ac.jp/

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