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通常診療と両立を維持 看護師らの教育強化を

通常診療と両立を維持 看護師らの教育強化を

長浜赤十字病院
楠井 隆 病院長(くすい・たかし)
1984年京都大学医学部卒業。
同大学医学部附属病院、米国立衛生研究所(NIH)留学、
長浜赤十字病院放射線科副部長などを経て、2018年から現職。


 滋賀県湖北地域の長浜市は、日本屈指の観光地・京都に近く、長浜赤十字病院は新型コロナウイルス感染症の流行初期から感染拡大防止の情報発信に努めている。現在は、通常診療との両立を維持し、看護師らへの教育の充実も目指す。楠井隆病院長にこれまでの取り組みや課題を聞いた。

─流行初期からどのような対応をしてきましたか。

 2020年の年明けに、中国からの観光客が長浜市にも多く訪れました。京都や大阪に近いという地理的な条件もあり、特に春節の時期は、インバウンド(訪日外国人観光客)が集中する京都・大阪のホテルは予約が取りにくく価格も高騰するため、滋賀県内に宿泊する方も多くいました。

 当院は感染が広まるのを危惧して、地域のホテルなどに対して「もしコロナの疑いがあるような症状を訴える方がいたら、受診させる前にまず連絡をしてほしい」と早急に要請しました。同時に、住民の方たちに対しては、「必要性の低い場合は京都・大阪への訪問は控えてほしい」という情報発信をしました。

 現在までの対応を通して、県内でも地域ごとに感染状況が異なっているため、県内全体の医療機関が連携して迅速に対応できるような体制づくりの必要性を実感しています。

─見えてきた課題は。

 第4波では、若い患者さんでも重症化する傾向があり、当院でも重症者を受け入れられる体制を整えていきます。
 20年と大きく異なっている点は、コロナ以外の患者さんの受診控えが減りつつあり、コロナへの対応と通常診療を両立していかなければならないことです。コロナの感染数など状況を予測しながら体制を維持していますが、地域ごとに特性も異なるため予測は難しく、日々試行錯誤しながら対応しています。

 看護師の確保についても、頭を悩ませている課題の一つです。体外式膜型人工肺(ECMO)を使用する症例もありますが、重症者がどれだけ増えるかによって確保する看護師の人数も変わります。また、人数をそろえるだけでなく、呼吸器の扱い方や装着後の患者さんへのケアなど、現場での教育も計画的に進めていかなければなりません。
 マスクやガウンなどの備蓄だけでなく、職員の経験の蓄積も力を入れて取り組まなければならないと思っています。

 20年は、研修医や新人の看護師の実習を制限せざるを得ませんでした。患者さんに直接対応する経験を積めず、実習の意義を体得できる機会も少なかったかと思います。知識を教わるだけでなく、自ら体験してもらうことが非常に大切だと改めて実感できたので、職種ごとに振り返りをして、今後の実習に生かしていきたいと考えています。

─今後の展望は。

 湖北地域の中核的機能を担う医療機関として、地域全体で高齢化に対応できるような医療システムをしっかりと構築し、全国のモデルになることを目指します。

 病気になる前の段階で、健康増進に取り組んでもらうような仕掛けづくりができないか検討しています。65歳以上の方だけでなく、50歳ぐらいから運動を習慣化させることが重要で、例えば、体験型の観光や、農業など地域の産業と組み合わせた介護予防の仕組みを展開できればと思っています。

 心の健康を支えるレジャーや観光について、コロナ禍における在り方を考えて提案することも医療機関の責務の一つだと捉えています。感染症対策においては、人流を減らすことが重要ですが、「あれをするな」「これをするな」と行動を制限するのではなく、観光やレジャーは必要な活動という認識を持ち、感染を拡大させないような適切な行動様式について積極的に情報発信する必要があると考えています。

長浜赤十字病院
滋賀県長浜市宮前町14─7
☎0749─63─2111(代表)
https://www.nagahama.jrc.or.jp/

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