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地域包括ケア 発祥の地で発展を

地域包括ケア 発祥の地で発展を

尾道市立総合医療センター
松本 英男 院長(まつもと・ひでお)

1989年岡山大学医学部卒業。岡山赤十字病院、
川崎医科大学消化器外科准教授、公立みつぎ総合病院副院長などを経て、
2021年から現職。


 公立みつぎ総合病院は、全国に先駆けて1970年代に地域包括ケアシステムを提唱した。2021年4月に就任した松本英男院長は、旗振り役として、システムをさらに発展させることを目指している。

IT化を推進
効率的な運営を模索

 地域包括ケアシステム発祥の地にある病院で、最終的な意思決定を下す院長の役割を担うことになった。「地域包括ケアシステムを発展させていくことが私の使命。提唱した私たちが失敗すれば、国の地域包括ケアシステムの構想に影響が出てしまうのではないかという懸念もあります。次の世代に良い形でバトンタッチすることが目標です」

 住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように、地域で包括的な支援・サービスを提供する体制のことを指す地域包括ケアシステム。公立みつぎ総合病院の山口昇・名誉院長が1970年代に現在の訪問診療や訪問介護に当たる「出前医療」をして、「寝たきりゼロ作戦」を展開したことが始まりとされる。2011年の介護保険法改正で、システムの構築が義務化された。

 現在も全国から視察がある。トップランナーとしての役割を全うし、地域包括ケアシステムを成功に導くためには、素早い現状把握と課題解決が第一だと考えている。その中で特に力を入れて取り組んでいるのが、IT化の推進だ。同院には電子カルテが導入されているが、関連する介護や在宅医療の現場にまでは浸透していなかった。手書きのメモでの伝達が続いており、効率化のためには速やかな改善が必須だと考え、関連の福祉施設で今春、電子媒体に切り替えた。

 「介護・福祉分野は担い手が不足しているので、とにかく効率良く人が動けるようにしなければいけない。効率化を図って人材不足を補えるようにしていかないと」と力を込める。

消化器外科医として
他職種と緊密に連携

 広島県出身。小学校の卒業文集に「外科医になる」と書き、夢を実現した。医師の力量で予後とQOLが大きく変わることに魅力を感じ、消化器外科の道へ。上部消化管を専門とし、低侵襲を目指して症例数を重ねた。研究面では、胃電図で術後の胃の動きを解析したり、効率的な化学療法を模索したりと、内科医とも連携を取りながら解明に心血を注いできた。

 医師だけでなく、他職種とも良好な関係を築けるように心掛けてきた。14年間を過ごした川崎医科大学では、職員と共に接遇改善に取り組む傍ら、栄養療法も取り入れた。その過程で、メディカルスタッフとのつながりを深めていった。今でも親交があり、財産の一つになっているという。

 「医師1人ではどうにもならないことも多い。多職種でのチームワークは絶対に欠かせず、地域包括ケアシステムもまさにチーム医療だと思っています」

地域包括ケアの未来
先導する決意

 地域包括ケアシステムを成功に導くための労は惜しまない。「大赤字になれば国の政策として立ち行かなくなるので、成り立つことを証明しなければいけない」。そのためには、どれだけの診療科とどれだけの医療職が必要で、本当に健康寿命は延びるのかというエビデンスを示すことも自身の役割だと考えている。

 「コンパクトな形にすれば効率良くできると、理念だけではなくデータを示していきたい。常にそれを意識しながら、職員の気持ちを一つにまとめて自分自身の問題と捉えて取り組んでもらえる環境づくりをして、住民の方々が慣れ親しんだ土地で人生の最後まで生活できることを証明していきたいと思います」

尾道市立総合医療センター 公立みつぎ総合病院
広島県尾道市御調町市124 ☎0848ー76ー1111(代表)
http://www.mitsugibyouin.com/ 

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