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コロナ患者受け入れに   赤十字の使命を持って奮闘

コロナ患者受け入れに   赤十字の使命を持って奮闘

水戸赤十字病院
佐藤 宏喜 院長(さとう・ひろき)
1983年島根医科大学(現:島根大学)医学部卒業。
慶應義塾大学医学部外科学教室、水戸赤十字病院副院長、
同乳腺外科部長などを経て、2019年から現職。


 第2種感染症指定医療機関である水戸赤十字病院。2020年2月5日の帰国者接触者外来の設置から始まった新型コロナウイルス感染症(以下COVID―
19)との関わりを振り返る。

─コロナ患者受け入れは。

 20年2月10日にDMATの医師を横浜港クルーズ船に派遣、11日からクルーズ船患者の受け入れを開始。続いて、厚生労働省からの要請を受けてクルーズ船関係者の追加受け入れのため、ドック部門を閉鎖して、COVID―19病床を30床体制としました。

 いわゆる第1波、緊急事態宣言が発出され、通常診療業務が制限される中、職員は公的医療機関、赤十字の使命感を持って奮闘してくれました。財務状況の厳しい中、幹部職員は「赤字うんぬんいっている場合ではない」と腹をくくっていましたが、やはり医業収入の落ち込みは大きく、夏季賞与の時期を控え、これが大きな不安でした。行政との交渉を重ねた結果、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業、入院受入医療機関緊急支援事業などのめどが立ち、職員の苦労に報いることができました。

 第2波から第3波に向け、職員の意識統一が鍵となります。臨時集会を開き、全職員に向けて日頃の業務遂行への謝意とともに、改めて地域における赤十字病院としての役割を訴えました。

 院内の感染対策では、入院時のスクリーニング検査(抗原定量)を導入、10月からは職員全員のスクリーニング検査を毎月実施しました。しかし、年明け早々に職員や入院患者から感染者が出て、第3波の危機感が強まりました。十分注意していたものの、休憩や食事時のマスク非着用など、職員間の対策に不完全な点があったと反省しています。

 自宅待機職員が一時20人を超え、新規患者受け入れ制限などの措置を取らざるを得ない状況になり、地域医療を担う病院として、これが最もつらいことでした。職員間にも精神的な動揺が、少なからずみられたことから、何度も現場に足を運んで職員と対話をし、「濃厚接触者になるな、濃厚接触者をつくるな」と繰り返し訴え、以降の院内感染対策は十分な対応が取れたと思います。

―院長としての思いは。

 19年4月、前年度の大きな赤字を引き継ぐ形での院長就任でした。内科系医師不足や常勤医の高齢化に伴う救急応需もままならず稼働率が低迷する中、この地域における当院の立ち位置を踏まえると「赤十字の使命の一つである災害医療こそ重視すべき」と考えていました。この思いはぶれることなく、COVID―19に対しても、災害同様にわれわれが率先して動こうと訴えてきました。職員一同使命感を持って業務に当たってくれることを誇りに思います。

 優秀な職員に恵まれ、「現場のやりやすいようにやってもらう。院長が引責辞任すれば収まる範囲なら現場の判断を優先する」を基本方針とし、私自身は調整役のような立場で対応しています。職員の心身の疲弊は懸念されますが、幹部職員が積極的にスタッフの声を聞くよう心掛けています。行政の支援、一般の企業、市民の皆さんからのご支援、温かい声援、特に幼稚園や小・中学校からの応援のメッセージには癒やされ、大きな励みとなりました。

―今後は。

 コロナ禍の中で面会制限が続いていることも考慮し、患者サービスの一環としての院内Wi―Fi環境整備に着手したところです。

 また、内科医師が少ない状況が続いており、退職予定者の補充も含め医師確保が急務です。21年は4月までに関連大学医局やアウトソーシング業者を通じて4人の入職者を得ることができました。また、人材育成は常に進めなければならない課題です。研修の受講、資格取得のため修学資金貸与制度を制定し、より良質な医療の提供を目指すとともに各種診療加算の獲得にもつなげたいと思います。

水戸赤十字病院
水戸市三の丸3―12−48
☎029―221―5177(代表)
http://mito.jrc.or.jp/

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