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京都府立医科大学 外科学教室 心臓血管・小児心臓血管外科学部門 小児から高齢者までシームレスな医療届ける

京都府立医科大学 外科学教室 心臓血管・小児心臓血管外科学部門 小児から高齢者までシームレスな医療届ける

外科学教室 心臓血管・小児心臓血管外科学部門
夜久 均 教授(やく・ひとし)
1982年京都府立医科大学医学部卒業。
米バーモント大学、豪セントビンセント病院、
京都府立医科大学助教授などを経て、2004年から現職。同大学附属病院長兼任。


 京都府立医科大学附属病院長を務める夜久均教授が率いる教室は、心臓血管外科分野で低侵襲かつ質の高い手術の開発を目指している。教室の特長や人材育成の方針などについて聞いた。

―教室の概要と特長は。

 成人心臓血管外科と小児心臓血管外科があり、バランスの良い治療を目指しています。小児の先天性疾患を含めて、小児から成人、さらに高齢者までの心臓血管領域における治療をシームレスに行うことができるのが最大の特徴です。京都府内だけでなく、全国から多くの患者さんを受け入れています。

 手術については、患者さんへの負担が少ない低侵襲で質の高い手術を目指しています。例えば、冠動脈バイパス術では人工心肺装置を使用せず、心拍動下での手術を20年以上前から行っています。術後の死亡や合併症の発症を抑えるためで、全国の心臓血管外科への普及にも努めてきました。

 胸部大動脈瘤(りゅう)の手術では、グラフト(人工血管)にステントというばね状の金属を取り付けて挿入する「ステントグラフト内挿術」を2001年から取り入れています。この方法の利点は、体内の血液の流れを保ったままできることで、これまでに400例以上の実績があります。

 小児心臓血管外科では、先天性心疾患の新しい手術・手技の開発に力を入れています。近年、出生数は減少していますが、小児心臓血管外科で行う手術件数は減っていません。これは複雑で高度な手術ができるようになったことの裏付けではないかと考えています。

―教育面での目標は。

 優秀な医師を育成することが最大の目標です。心臓血管外科においては、私の海外経験を踏まえた持論として、二つの側面があると考えています。日本では、一人一人の患者さんの症例に応じてベストな治療戦略を立てる、いわば「テーラーメード」の治療が行われてきました。患者さんにとっては素晴らしいことなのですが、一つの医療機関で手掛ける症例数はどうしても少なくなってしまうと感じています。
 
 諸外国では日本と比較して、医療リソースが集約化されていて、決められた年間予算の中でいかに多くの症例を手掛けるかが重要視される傾向があります。ベストとは言えなくても標準的な医療をできるだけ多くの患者さんに施すためには、効率化が求められます。徹底的に無駄を省いて1日により多くの手術を行うので症例数も圧倒的に多く、手術に対する時間の概念が全く違います。

 当教室では、日本と海外の二つの側面を取り入れた指導方針で教育・研修をしています。専門医の取得後などに海外に留学して経験を積むことで、より幅広い技術と見識を持った心臓血管外科医の育成を目指しています。


―チーム医療について。

 当院では心臓疾患を持つ患者さんに対して、外科医と内科医による「ハートチームカンファレンス」を週1回程度行っています。近年は、カテーテルを用いた「TAVI(大動脈弁留置術)」に代表されるように、外科と内科の垣根を越えて治療に当たるようになりました。

 そうした環境の中で、外科・内科のどちらで施術をするのが適当なのかを話し合うことは、治療方針決定の透明性からも必須であると考えています。ハートチームには医師だけではなく、看護師、臨床工学技士らも所属しているので、スタッフに対する教育効果も期待しています。

 さらに、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の観点から、患者さんとご家族がどのような医療を望み、その意思が治療方針にどう反映されるかが今後より注目されていくでしょう。こうした要素もハートチームで検討できるようになれば、より良い医療の提供につながるのではないかと考えています。

京都府立医科大学 外科学教室 心臓血管・小児心臓血管外科学部門
京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465
☎075―251―5111(代表)
http://www.cvs-kpum.com/

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