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睡眠研究を柱に 継承、発展

睡眠研究を柱に 継承、発展

神経精神医学講座
小曽根 基裕 主任教授(おぞね・もとひろ)

1989年東京慈恵会医科大学医学部卒業。
米スタンフォード大学医学部精神神経・行動科学講座客員准教授、
東京慈恵会医科大学精神医学講座准教授、
久留米大学医学部神経精神医学講座准教授などを経て、2020年から現職。


 90年以上の歴史を持つ久留米大学の神経精神医学講座は、幅広い領域の臨床を担い、睡眠を軸とした研究でも数々の功績がある。主任教授の小曽根基裕氏は伝統を継承し、精神科医療のさらなる発展も目指す。

伝統引き継ぎ
臨床と研究を推進

 睡眠を専門とする精神科医としてキャリアを積んだ母校の東京慈恵会医科大学から、久留米大学に活躍の場を移したのは、2019年。前任の現・久留米大学学長の内村直尚氏らとの縁もあり、准教授として招かれた。「久留米大学と慈恵医大はどちらも睡眠の研究の歴史が長い。私学という共通点もあり昔から交流を深めていたため、違和感なく溶け込めました」

 久留米大学の神経精神医学講座は、統合失調症、、てんかん、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、睡眠障害などさまざまな領域をカバーし、患者も小児から高齢者までと幅広い。急性期の治療も対応し、慢性期の患者の就労支援も行っている。

 研究面では睡眠、精神生理、心理社会的治療、精神薬理、てんかんの五つのグループが精力的に活動しているのが特徴だ。睡眠グループでは脳波のデータを解析して、発達障害と睡眠障害の関係性などを調査。慈恵医大時代に従事していた不眠症に対する認知行動療法の臨床研究にも徐々に取り組み始めている。

人材育成に注力

 20年11月に主任教授に就任してから、特に力を入れているのは人材育成だ。入局1~2年の研修期間を「精神科医としての人格形成に大切な時期」と位置付け、この間は病棟指導医が密に連携しながら、若手医師を丁寧に教育している。

 若手医師が各研究グループに参加する機会を設けることで、研究マインドを育むことにも注力しており、「精神科医としてはもちろん、医師としての土台をつくるためにも臨床と研究をバランス良く教えていきたい」と語る。

多様な疾患に関連
睡眠の道に魅力

 兵庫県出身。慈恵医大への進学を機に上京し、卒業後は同大の精神医学講座に入局した。当初は認知症を専門にしたいと思っていたが、指導医に勧められたことがきっかけで、睡眠の道を進んだ。「睡眠なんて何の役に立つのだろう」と当初は懐疑的だったものの、徐々に魅力に気付いた。

 最大の魅力は「あらゆる疾患に関連していること」という。「精神疾患だけでなく、身体疾患を持つ患者さんや、健康な方にも関われる。研究面でも他の診療科と取り組む機会があり、視野が大きく広がることも良い面だと思っています」

磁気で治す
うつ新治療開始へ

 今後、臨床面では、従来の抗うつ薬ではなく、磁気の刺激によってうつ病などを治療する反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)に取り組む。機器の導入を済ませており、近々開始させる予定という。研究面では、発達障害に関して、小児科など他の診療科などと連携した研究を進める方針だ。

 精神疾患予防の観点から、AIを用いて精神科医療をさらに進歩させることも、実現していきたいと思い描いている大きな目標の一つ。人間と会話ができる一般向けのロボットやアプリケーションを発展させて、精神療法に活用できないか、方法を模索している。

 「孤独に悩む人や、精神疾患の予備群の方たちに対して、AIが会話のキャッチボールをして日常生活のストレスを緩和させ、AIが対応できない繊細な点を医師が受け持つ。孤独感の解消は現代社会が抱える課題の一つで、このような未来を実現する研究をしていきたいと考えています」

神経精神医学講座
福岡県久留米市旭町67 ☎0942ー35ー3311(代表)
http://www.neuropsy-kurume.jp/

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