九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

最良の医療を提供する 誇りを持つために

最良の医療を提供する 誇りを持つために

熊本大学病院
馬場 秀夫 病院長(ばば・ひでお)

1984年熊本大学医学部卒業。米テキサス大学医学部内科腫瘍学講座、
九州がんセンター消化器外科、九州大学大学院医学研究院消化器・総合外科学分野助教授、
熊本大学病院副病院長などを経て、2021年4月から現職。
熊本大学大学院生命科学研究部消化器外科学教授、同大学副学長兼任。


 2021年4月から熊本大学病院の病院長に就任した馬場秀夫氏。県内で唯一である大学病院としての先進医療の提供や人材育成、さらには「働き方改革」と、多分野にわたる取り組みと、その背景にある思いを聞いた。

県内唯一の大学病院という責務

 県内唯一の特定機能病院であり、地域医療の「最後の砦(とりで)」の役割を担う熊本大学病院。高度な治療を必要とする人への先端医療の安全・確実な提供、基礎および臨床研究、医療人の育成など、取り組むべき課題は多い。

 「大学病院として、治療が困難な疾患に対する先進医療の提供、そのための基礎・臨床研究は、これまでと同様に積極的に取り組みます。さらには加速しているAI(人工知能)やロボットなどの技術、デジタルトランスフォーメーションも取り入れながら、効率的な診療体制を構築していきたいと思います」

 熊本大学は基礎研究に強みがあり、今後さらに発展させたいと考える。健康長寿代謝制御研究センターでは、高齢化社会において、いかに健康を維持しながら長寿を果たすかといった研究に力を入れている。「大学病院には血液などのサンプルやデータなど、さまざまな資源が存在します。それらを一括して保管するバイオバンクをつくり、あらゆる企業に提供できるオープンイノベーションを実現できないかと構想しています」

 先進的な医療を取り入れるために、設備投資も積極的に取り組んでいく。しかし、それには健全な病院経営が必要となる。「国からの予算が年々削られていることから、自立かつ安定した経営基盤を構築する必要があります。理想を実現するためにも、経営についても強化していきます」

教育の根幹は患者を思う心

 医療人育成について、教授を務める熊本大学大学院消化器外科学講座では、国内外の活発な人材交流を進めてきた。コロナ禍で現地へ行くことが難しくなったが、オンラインツールの利用が広まり、海外の医療機関との情報交換も活発にしていきたいという。「県内で唯一の大学病院ですので、国内外との交流を通して人材を育成し、地域に還元する役割が期待されていると思います。各診療科もそれぞれに国内外に連携先を持っているので、そのつながりを生かし、人材育成を強化していきます」

 医師の地域偏在が顕著な熊本県にあって、医師が不足する地域への人材派遣を積極的に行っている。その派遣される医師には、これらの人材交流を通して、広い視野を持った医療人になってほしいと願う。「医療人に求められるのは、最新の知識、技術、そして患者を思う心です。患者さんやそのご家族に寄り添う心があって、初めて知識や技術が生きてきます。患者さんを思う心を、教育の根幹に据えて、取り組んでいきたいと思います」

 さらに、地震、豪雨と大規模災害が続く熊本で、災害医療の教育にも力を入れていきたいと語る。「災害医療教育研究センターが2018年に新設されています。文部科学省『課題解決型高度医療人材養成プログラム』に採択された『多職種連携の災害支援を担う高度医療人養成』事業の推進をテーマに、高度災害医療に貢献できる人材を育てていきます」

クラーク増員、タスク・シフティング
「働き方改革」を実現するために

  日本外科学会では、外科医労働環境改善委員長を務め、厚生労働省の「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフティングに関するヒアリング」で委員を務めた。その経験を生かし、「適材適所に人材を配置しながら、医師の業務を少しでも減らしていく取り組みを行っています」。勤怠管理システムはすでに導入しており、医師をはじめ職員全員の時間管理の意識づけを図っている。「医師は大学病院だけでなく、地域の医療機関の診療も担っているため、外勤などを含めた労働時間の管理が必要となります。そのためにも意識づけが重要だと考えています」

 より効率化が求められるため、医師の事務業務をサポートするクラークを増員、あるいは他職種へのタスク・シフティングも予定している。「2021年10月から施行される法案で、これまで医療法で制限されてできなかった業務が、他職種でもできるようになります。20年度から、看護師の特定行為研修も始めており、周術期に対応する人材が育ってきています」。適材適所で活躍できる人材を増やすことで、医師の働き方改革の実現を目指していく。

 同時に、患者側への理解を求める取り組みも展開する。「患者さんや家族には『主治医に診てほしい』という思いが強くありますが、主治医制には限界があります。今後はチーム制を導入して、患者さんを診ていくようにしていきたい。日勤帯と夜間、週末では対応する医師が違うことを患者さんに理解していただく取り組みが必要です」

 ただし、これには他医療機関との連携が欠かせない。「特定の病院だけだと『サービスが悪い』と思われてしまいます。ある程度熊本市内の病院と連動する形が必要になるでしょう」。地域と手を取り合いながら進めていきたいと語る。

 働き方改革を含め、多くの取り組みを実現するためには、職員全員が努力し、「自分たちが、よりよい病院をつくっていく」という思いを持つことが大切という。「昨日より今日、今日より明日、どこか進歩した、と思えるような意識を持ってもらいたいですね。患者さんのために最良の医療を提供するという誇りを持って働くことができる病院であり続けたいと思います」

熊本大学病院
熊本市中央区本荘1ー1ー1 ☎096ー344ー2111(代表)
https://www.kuh.kumamoto-u.ac.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる