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「医学教育で勝負する」 その先を見据えて

「医学教育で勝負する」 その先を見据えて

兵庫県立丹波医療センター
西崎 朗 院長(にしざき・ほがら)

1983年神戸大学医学部卒業。
同附属病院第二内科、兵庫県立がんセンター、
兵庫県立柏原病院(現:兵庫県立丹波医療センター)内科部長兼副院長などを経て、
2021年から現職。

 兵庫県立丹波医療センターは、83年の歴史を持つ柏原赤十字病院と66年の歴史を持つ兵庫県立柏原病院とが統合し、2019年に設立された最も新しい病院の一つです。

 私は2013年に、それまで23年余り研さんを積んだ兵庫県立がんセンター消化器内科から、兵庫県立柏原病院に赴任。消化器内科診療を指導・実践し、ライフワークとして早期がんの診断と内視鏡的治療を行ってきました。また副院長として、教育プログラム・がん診療推進・診療報酬対策・感染対策などを担当。15年と16年に当院のデータをまとめ、米国消化器病週間での発表の機会を得たことは、当院の診療が世界標準である一端を示せたのではと感じています。

 当院のコンセプトの一つに「医学教育で勝負する」があります。病院スタッフは教育熱心で、自己研さんし、自らを高めています。「主体的に学び共に育つ」という医療文化の中で、若手の医療者が集い育つ病院に様変わりしてきました。指導医・専攻医・初期研修医による屋根瓦方式の実習・研修・診療を実践し、教え、学び、お互いを高め合うことを実感できています。

 今後は、当センターに集う医療者一人ひとりが輝くことをモットーに進めていきます。その方策の一つは、学会発表や論文作成です。自身や施設の医療を検証し、発表し、論文化することは、医療水準の向上、社会貢献にもつながります。そのためにも、若手が率先して集まる病院にしていきたいと思っています。

 もう一つは、地域住民に対する未病への貢献。その目玉は、神戸大学と丹波市のプロジェクトの一つ「コグニケア」です。これは、運動教室で定期的な運動習慣を身に付け、教育的な講演会や動画などで健康的な生き方や認知症予防を学び、自身の健康状態を把握し、さらに運動につなげるというサイクルを繰り返すことで、認知症予防や健康寿命を延ばそうという試みです。この試みを後押しし、丹波の健康寿命延長を図りたいと思っています。

 コロナ禍で広まったオンラインツールも課題です。高齢化率35%を超えるこの地域で活用可能かを検討する必要があります。丹波市には、独自の医療介護情報連携システム「ちーたんネット」があります。診療所や消防などと連携ができ、救急科や地域連携室で活用を始めています。今後、退院時カンファレンスなどへの発展が期待されます。

 コロナ禍の対応として、21年4月28日に中等症病床を4床増床し、軽症中等症13床、重症2床、計15床としました。第1波から21年5月5日まで、164人の新型コロナ患者を受け入れ。第4波では、重症化速度が速く、ぎりぎりの対応を強いられています。関連部門長全員参加の会議を定期的に行い、入院状況・病院としての水際対策・職員の感染対応や医療者が気を付けるべきこと・医療圏域での発生状況・治療法などを共有してきました。今後も注意すべき情報をタイムリーに伝達し、適切な対応を行います。

 働き方改革も取り組むべき課題です。21年4月1日から勤怠管理システムを敷設。磁気カードで、出退勤時間を記録し、働き方改革の一助にしていきたいと考えています。今後、働き方改革に見合う人材確保を行い、地域医療の維持・向上に努めていく必要があります。

 組織の長として、誠実に対応することが重要と考えています。一方で、「世界標準の医療を提供する」ためにお願いすべきことがあることも事実です。「挑戦を恐れるな」と新年度の新人研修で訓示しました。医療者一人ひとりが「できること・しなければならないこと・したいこと」を考え、研さんを積み、意欲的に働いてほしい。そこに向かって、共に歩んでいきます。

兵庫県立丹波医療センター
兵庫県丹波市氷上町石生2002-7
☎️0795-88-5200(代表)
http://tmc.hyogo.jp/

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