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チームの力とICTが 働き方を変えていく

チームの力とICTが 働き方を変えていく

社会医療法人石川記念会
石川 賀代 理事長(いしかわ・かよ)

1992年東京女子医科大学医学部卒業、同消化器内科。大阪大学微生物学教室を経て、
2002年医療法人綮愛会石川病院(現:社会医療法人石川記念会 HITO病院)入職、
2019年から現職。石川ヘルスケアグループ総院長兼任。


 ケアミックス型病院として地域に根差すHITO病院は、積極的なICT活用で知られる。医療の質向上と業務効率化の両立を図る「未来創出HITOプロジェクト」は開始から5年目を迎えた。その先に見据える、新しい病院の姿とは。

─プロジェクトの進捗は。

 院内PHSをスマートフォンへと変えたことで、働き方は大きく変わりました。一つの部署から始めた電子カルテの音声入力や業務用SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の運用はスタッフ300人以上に広がっています。

 業務用SNSにより、チームや部署単位での「1対多」のコミュニケーションは飛躍的に加速しました。連絡・確認をそれぞれの都合の良いタイミングで行えるので、場所に縛られず時間を奪われない働き方が少しずつ実現しています。

 電子カルテは、2020年8月から医師の院外アクセスを可能にしました。メリットの一つは、緊急呼び出しがあった場合。外から画像や検査、バイタルデータを確認して出勤する・しないを判断した上で、当直の医師に指示ができます。これによりメリハリある働き方につながっています。

 業務マニュアルなどはデータや動画にして一元管理。スマホで検索・閲覧でき、ペーパーレス化が進みました。健診データも、患者さんの携帯端末の医療情報共有アプリに通知することでペーパーレス化を進めています。月額約100円は患者さん負担ですが、現在1500人ほどが登録。病院側のコストが少なく、継続性も高いのがメリットです。AIによる健康管理にも役立てたいですね。

 コロナ禍で、ICTの活用はさらに広がりました。コロナ専用病床での見守りシステム、発熱外来での非接触対応などです。ご家族の病棟立ち入り禁止に伴い、総合案内から病棟につなぎ、オンライン面会ができるシステムも構築しました。

─働き方改革にもICTを活用しています。

 2020年4月、理事長直轄で「働き方改革推進室」を設置しました。室長は看護部長で、薬剤部や人事部のほかDX推進課も加わっています。室長が各部署に困っていることをヒアリングし、課題を仕分けして関係部署と調整。改善例としては、看護師やリハビリスタッフのシフトを工夫して食事介助を効率化した、朝礼をやめて業務用SNSでの一斉配信にした、などがあります。環境の改善にとどまらず、働き方も柔軟に変えたいと思っています。

 時間外勤務や経営に関するデータはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で自動取得し、タイムリーに分析、行動に移すプロセスにも取り組んでいます。データ収集にかけていた時間とマンパワーを他のことにかけられるだけでなく、データを見てSNS上でディスカッションして改善策を施し、会議は成果と改善点を検討することで、スピード感を持って課題解決に当たることができています。

 今後、目指すことの一つは、AIの活用。患者さんの排尿を予測して通知する排せつ予測デバイスや、看護記録をAIが分析して患者さんの転倒・転落のリスクを算出するシステムを実証中です。

 2021年1月には、企業の製品やシステムの実証を推進するための附属研究所を立ち上げました。現場で使用し、改善点を企業へフィードバック。良いものなら他の病院への普及につながります。少しでも社会に還元できれば本望です。

 予測できないことが次々に起こり、経験だけでは迅速に対応できない時代です。さらに、これだけ高齢の患者さんが増えると、人の手によるケアだけでは限界があるでしょう。だからこそチームで知恵を出し合い、テクノロジーも駆使しながら着実に成果を出したい。それが持続可能な医療にもつながると思っています。

社会医療法人石川記念会
愛媛県四国中央市上分町788─1
☎0896─58─2222(代表)
http://hitomedical.co-site.jp/

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