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職員に繰り返し発信 「みんなで頑張ろう」

職員に繰り返し発信 「みんなで頑張ろう」

国家公務員共済組合連合会 浜の町病院
一宮 仁 病院長(いちみや・ひとし)
1976年九州大学医学部卒業、同第一外科入局。
スウェーデンカロリンスカ研究所留学、九州大学医学部臨床教授、
浜の町病院副院長などを経て、2014年から現職。

 浜の町病院では、新型コロナウイルスの感染拡大初期から患者を受け入れ。病院長の一宮仁氏は、院内感染対策を徹底するため、きめ細かにメッセージを発信。通常診療とコロナ診療の両立にも心を砕く。

―これまでの感染対策は

 当院では行政の依頼を受け、2020年2月に「渡航者・発熱者外来」を開設。感染者の増加に伴い、同4月には本格的に患者さんの受け入れを開始しました。

 その際、最も注意を払ったのは院内感染の防止です。まずは職員全員が同じ意識で行動できるよう、繰り返し、対策の徹底を呼びかけました。基本的な感染対策のルールはもちろん、PPE(個人用防護具)の脱着方法、患者さんへの対応、診察や検査のマニュアルなどを作成・改訂するたびに、電子カルテのトップ画面を使って全員に共有。方針が変更になった場合もすぐに発信し、その回数はこれまでに100回を超えています。

 また、患者さんに対しては20年5月から入院前のPCR検査を実施しているほか、入院中のマスク装着、面会禁止などの基本対策を入院予約時と入院当日に説明。ご家族も含め、予想以上に理解・納得していただき、感謝しています。

―職員の感染もありました。

 この1年間で計9人。最初の1人は入院患者さんから感染したと推測され、次の2人は院外での感染。いずれも感染拡大には至りませんでした。最も緊張感が高まったのは、21年1月下旬から2月初旬にかけてです。同1月31日に職員1人の感染が判明。直ちに接触が疑われる職員と患者さん約90人にPCR検査を実施したところ、新たに職員3人の感染がわかりました。さらに自宅待機を指示した約20人の職員の中から2人の感染者が出て、感染者は合計6人。同2月8日にクラスターと認定されました。

 医療機関にとって、コロナの「侵入」はやむを得ないことです。大事なのは、いかに早く発見し、拡大を防ぐのか。当院では、速やかに職員の自宅待機と患者さんの個室隔離を行うとともに、広範囲のPCR検査を行うことができました。

 普段から職員全員が基本的な感染対策を順守していたことと迅速な対応によって、自宅待機の職員以外に新たな感染者は出ませんでした。クラスターの大規模化を防ぎ、通常診療と救急医療を継続して地域医療への影響を抑えることができた何よりも大きな理由は、職員が同じ意識で、同じ思いで立ち向かっていることだと思います。

―感じたことや得たものは。

 当院には、何かあったときは職員全員で頑張ろうという意識が根付いていました。このコロナ禍でも、それは変わらなかったですね。

 私が職員に伝え続けてきたのは、「家族、家庭を大事にしてください」「みんなで頑張りましょう」ということ。緊張とストレスが続く中でも、職員は燃え尽きることなく、一生懸命に取り組んでいると感じています。

 コロナ禍は、医療界の将来にもさまざまなヒントをもたらしています。ICTの活用が急速に進み、地域における医療格差の解消や医療従事者の働き方改革につながるのではとの期待も膨らんでいます。医師のキャリア形成の面でも、新たな形が見えてきました。

 21年5月末現在、当院のコロナ専用病床は30床。第4波の前に13床増やしました。ただ、フルに稼働させるにはマンパワーが足りず、どこかの病棟や診療科を縮小して、スタッフに専用病床での業務に当たってもらわざるを得ません。感染者数が増えたとしても、コロナ患者さんの命と、がんや心筋梗塞、脳血管障害などの患者さんの命は同等に扱われるべきです。通常診療とコロナ診療の両立を継続させるために必要なことは何か。今後も、考え、行動し続けていくつもりです。


国家公務員共済組合連合会浜の町病院
福岡市中央区長浜3―3―1
☎092―721―0831(代表)
https://www.hamanomachi.jp/

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