九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

和歌山県立医科大学医学部 リウマチ・膠原病科学講座 コホートで特徴分析 和歌山の診療充実図る

和歌山県立医科大学医学部 リウマチ・膠原病科学講座 コホートで特徴分析  和歌山の診療充実図る

和歌山県立医科大学医学部 リウマチ・膠原病科学講座
藤井 隆夫 教授(ふじい・たかお)
1989年慶應義塾大学医学部卒業。米エール大学留学、
京都大学大学院医学研究科リウマチ性疾患制御学講座特定教授などを経て、
2015年から現職。


 2015年に開設された和歌山県立医科大学のリウマチ・膠原病(こうげんびょう)科学講座。和歌山県内での診療の充実を図るため日々奮闘している藤井隆夫氏に、初代教授としてのこれまでの取り組みや研究内容、展望を聞いた。

―講座開設から現在までを振り返って。

 近畿地区で大阪、京都、神戸などの都市部は関節リウマチと膠原病を専門にする内科医が多く、拠点病院もありますが、和歌山県は他都市と比べて診療も研究も立ち遅れているという印象がありました。私が前任地の京都大学にいた時にも、和歌山から2時間以上もかけて診察に来る患者さんがいました。

 こうした状況の中で、2015年に当講座が新設されました。当講座の使命は、和歌山にいる関節リウマチと膠原病の患者さんが、他の都市部と同じ水準、そして最先端の治療を地元で受けられるようにすること。関連病院がないゼロからのスタートでしたが、県内の医療機関には当大学出身の医師が多く、講座開設当初から周知したことで、多くの患者さんを紹介してもらっています。

 ただ、和歌山県は非常に面積が広く、例えば和歌山市から県南部の那智勝浦町、串本町へは車で2〜3時間かかります。そのため、重症な症例に関しては、ヘリコプターで搬送する患者さんもいます。特に関節リウマチは生物学的製剤や阻害薬などが著しく進歩していますが、副作用や有害事象が発生した場合には、すぐに相談できる医師が近くにいるということも非常に重要です。将来的には、遠隔地にも当講座のスタッフを派遣できたらと考えています。

―研究・教育については。

 病診連携や病病連携の拠点として、診療だけでなく研究と教育にも力を注いできました。

 研究面に関しては、関節リウマチ患者さんのコホート研究をしています。17年に着手して、登録患者数は800人以上になりました。現在は私が専門とする自己抗体の検査データを解析して、若い先生に学会で発表してもらっています。

 これまで、県内で同規模のコホート研究は行われていなかったと思います。コホートを作成することで、どのような患者さんがいるのか、また、全国と比較してどのような特徴があるのかを分析し、データを定期的に公表することがわれわれの役割であり、病診連携などの際にも役立つのではないかと考えています。

 慶應義塾大学や京都大学などとの共同の臨床研究では、関節リウマチにおけるリンパ腫について、どのような患者さんに起こりやすいのか、メトトレキサートという薬剤の内服を止めた後にリンパ腫が自然退縮するのはどのような患者さんなのかといったことを調べています。

 ただ、人員が少ないためどうしても診療を中心にせざるを得ないのが現状で、基礎研究や国内留学をする段階まではたどり着けていません。他大学に比べると立ち遅れていますが、前例やしがらみに縛られず、自由に共同研究などができる強みを生かしてさらに努力を続けていきます。

―今後の課題は。

 膠原病は全身性の病気で、呼吸器、腎臓、神経科などとの連携が必要なので、学内で協力しながら臨床研究ができればと考えています。

 人員確保に関しては、県外で活躍している当大学出身者に、和歌山に戻って外で学んで来たことを還元してほしいと積極的なアプローチを続けています。

 関節リウマチ、膠原病分野は多くの臓器を診る総合診療科的な部分があり、ここ約20年で使える薬剤が増えて患者さんに新しい治療法を提案できるようになってきました。このような魅力や和歌山でリウマチ・膠原病の診療を充実させる必要性を伝え、多くの人材を集めていきたいと思っています。

和歌山県立医科大学医学部 リウマチ・膠原病科学講座
和歌山市紀三井寺811―1
☎073―447―2300(代表)
http://www.wakayama-med.ac.jp/med/rheumatology/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる