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コロナ禍の救急維持 「顔の見える関係」が機能

コロナ禍の救急維持 「顔の見える関係」が機能

社会医療法人天陽会 中央病院
厚地 伸彦 院長(あつち・のぶひこ)

1994年九州大学医学部卒業。
福岡赤十字病院、東京女子医科大学病院、済生会熊本病院、
鹿児島大学病院などを経て、2016年から現職。


 循環器疾患の診療に力を入れる社会医療法人天陽会中央病院。新型コロナウイルス感染症の患者への対応と同時に、一刻を争う救急患者の受け入れも両立して担ってきた。その体制を維持できた要因は何か。厚地伸彦院長に、根底にある思いや今後の展望などを含めて聞いた。

―コロナ禍での診療体制は。

 当院は救急指定病院として年間2000人以上の救急患者さんを受け入れています。循環器疾患は基本的に時間を置くことができず、すぐに治療を開始する必要があります。特に急性心筋梗塞などは1分1秒を争い、救急のたらい回しはあってはならないこと。コロナの患者さんに対応しているため病床は逼迫(ひっぱく)していますが、コロナの患者さん以外の救急用にも空床を確保しておかなければいけません。ベッドマネジメントを徹底して、どうにか病床を確保しています。

 治療に際しては、「救急患者はもしかしたらコロナに感染しているかもしれない」ということを念頭に置いています。PCR検査の体制を整え、検査と治療を両立させてきました。感染が拡大してからも、「24時間救急を断らない」というスタンスを保ち続けています。

―体制を維持できた要因は。

 コロナの感染拡大前から構築していた救急や他の医療機関との「顔の見える関係」が、体制を維持できている大きな要因ではないかと考えています。

 コロナ禍前は救急隊と救急医の会合が定期的にあり、頻繁に情報交換をしていました。そうした場を通じて関係構築ができていたため、スムーズなコミュニケーションが取れて協力し合える体制がすぐに取れました。

 当院だけで患者さんの治療を完結するのはなかなか難しく、慢性期の病院と連携を取ることも重要です。他院への訪問を積極的にしていたため、実際にベッドが逼迫した際、当院のリハビリが必要な患者さんを快く引き受けていただき、そのおかげで救急の病床を確保することができました。

 いざという時に協力し合うためにも、普段から顔の見える関係をつくっておくことが非常に大事だと改めて感じました。

―今後の展望は。

 鹿児島でも大都市圏と遜色ない循環器疾患の治療が受けられる体制を構築していきたいと考えています。その一環として、4月から不整脈に対するカテーテルアブレーション治療を導入しました。鹿児島市内では実施されている数がまだ少ないので、県外まで治療を受けに行く患者さんもいると聞きますが、当院で治療を受けていただくことが可能になりました。心不全についても新たな手術デバイスを導入する予定で、循環器疾患に幅広く対応できるようにします。

 根底にあるのは、治療を県内で完結させたいという思いです。以前、私が熊本済生会病院に勤務していた時に、鹿児島の患者さんをドクターカーで迎えに行くことが何度かありました。鹿児島に暮らす循環器疾患の患者さんを他県に紹介しなければならない状況に問題意識を持ち、故郷の鹿児島に戻ってきてからは、循環器疾患に関しては、救急も含めて県内で完結させることを目指しています。

 骨折などで来院する高齢の患者さんには心臓疾患がある人も多いため、循環器疾患治療の実績を生かして、整形外科でも心臓疾患のある患者さんを積極的に引き受けるようにしました。整形外科と循環器内科がしっかりとタッグを組んで、心臓疾患のある患者さんを治療していきたいと考えています。

 地域の患者さんが安心できる医療を提供するのが当院の使命です。鹿児島市・桜島にある当法人の桜島病院も含めてこの使命を果たすことで、当法人の創始者である祖父の代からお世話になっているこの地域に恩返しをしていきます。

社会医療法人天陽会 中央病院
鹿児島市泉町6─7
☎099─226─8181(代表)
https://www.tenyoukai.jp/

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