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法人内で障害者雇用創出 患者の個性を生かす

法人内で障害者雇用創出 患者の個性を生かす

医療法人陽善会
小城 卓郎 理事長・院長(こじょう・たくろう)

2009年愛知医科大学医学部卒業。
鹿児島大学病院神経科精神科、慈愛会谷山病院、
鹿児島県立姶良病院などを経て、2014年から現職。


 精神疾患のある人たちにどのように活躍してもらうか─。理念に「和顔愛語」を掲げる医療法人陽善会の理事長で、精神科病院・坂之上病院院長の小城卓郎氏は、障害者就労支援施設の運営などの事業を展開してきた。取り組みの成果や、今後の展望などを聞いた。

―これまでの取り組みは。

 当法人は、就労支援施設として豆腐の製造所「」を運営しています。九州産の大豆とにがりを使い、石臼でひいた大豆をかまどで炊く製法にこだわっていて、鹿児島市内のスーパーや自然食品の店で販売しています。

 当初はA型の就労支援施設でしたが、作業能力の差が二極化してA型以上の作業ができる方がいる一方、A型で求められるレベルへの到達が難しい方もおり、2020年からB型と障害者雇用の二つの枠組みにしました。B型は豆腐作りの一部とクリーニング業、タマネギの皮むきなどの単純作業を行い、豆腐作りの複雑な工程は障害者雇用枠の方に担当してもらうことにしました。障害者雇用になった方は、よりやる気を出して頑張ってくれています。

 常に心掛けてきたことは、時流に合わせて変化をしていくこと。私は現状維持や普通という言葉はあまり好きではなく、国がどのような方向性を求めているのかを見極めながら、そこに独自の色を出していくようにしてきました。実際に、就労支援施設をA型からB型に変更したことによって利用者の人数は大幅に増え、収支も改善されていますので、経営面でもプラスの効果があったと言えます。

―障害者雇用の現状は。

 障害者雇用として当法人では現在9人が働いています。3人は就労支援施設、6人は院内で働いています。

 法人内で適材適所を見つけ、働く楽しみを感じてもらうのが何より重要です。実は、当院で長期入院中に作業療法の陶芸グループで活躍されていた方に、退院後から障害者雇用として作業療法の陶芸グループの助手を担っていただいています。退院後に活躍する姿を見て、入院患者さん側も「あの人が退院して頑張っているのだから私も」と刺激を受ける。患者さんの早期退院にもつながる相乗効果が生まれています。

 施設管理業務担当の4人は雇用後約半年でジョブコーチの支援がなくても自らの判断で動き、自分たちでミーティングもするようになりました。一般雇用に切り替えられる方が出てくることを期待しています。

―今後は。

 これまで入院が長期化することが課題でしたが、関連のグループホームや地域の施設への受け入れ要請を地道に続けてきたことで、現在は長期化が解消しつつあります。退院促進に向けた取り組みとして、病院の隣接地に高齢者施設を建設する計画もあります。最近は患者さんが若年化している傾向があり、若年層へのアプローチにも力を入れています。発達障害や摂食障害、さらにはトラウマを抱える子どもたちが、学校や家庭以外で安心して過ごせる居場所として、放課後等デイサービスの提供を計画しています。21年度中に開始できればと考えています。

 動画配信サイト「YouTube」での法人紹介も新たに始めました。狙いは、地域住民の方だけでなく、より多くの方に当法人から情報を発信することで、精神科医療について正しく理解していただき、より身近なものとして受け止めていただくこと。今後は「入院してみた」というようなシミュレーションの動画に加え、精神疾患の説明や予防についての解説を配信していく予定です。職員が考案した犬の「ダンディ・ピース」など法人の公式キャラクターも活用しながら広報に力を入れていきます。

医療法人陽善会 坂之上病院
鹿児島市光山2─31─76
☎099─261─6602(代表)
https://youzenkai.or.jp/

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