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建学精神受け継ぎ 地元への医師定着図る

建学精神受け継ぎ 地元への医師定着図る

佐賀大学医学部
末岡 榮三朗 学部長(すえおか・えいざぶろう)
1984年佐賀医科大学(現:)医学部卒業。
埼玉県立がんセンター、佐賀大学医学部附属病院病院長特別補佐などを経て、
2019年から現職。同大学医学部臨床検査医学講座教授兼任。


 佐賀大学医学部は1976年に設立された佐賀医科大学を前身とし、2003年に統合して現在に至る。末岡榮三朗学部長に、現在まで受け継がれている医学教育に対する理念や、佐賀県内に医師を定着させるために始めた新たな取り組みについて聞いた。

―教育の特長は。

 佐賀医科大学が開学した当時、初代学長の古川哲二氏は「患者に寄り添い、地域に根ざした、良き医療人の育成」を理念として掲げました。その理念を実現するために、必要な知識や技術を自ら学ぶ姿勢を身につける自己学習、自己研さんを重視してきました。私自身も佐賀医科大学の1期生で、医学生、研修医の頃に臨床実習を通して現場で患者さんから学ぶ姿勢を徹底的にたたき込まれました。

 統合後、2000年代からは、医学部と看護学部で、座学の段階からアクティブラーニングの手法を導入しています。これは主に米国・ハワイ大学の「PBL(プロブレム・ベースド・ラーニング)」という方式をモデルにしたもので、学生がグループを組んで患者さんの病態や臨床経験などから問題点を抽出し、その解決法を見いだしていくというものです。導入以来約20年の間に改良を重ねながら本学独自の新たな開発を行っています。

 近年では臨床に求められるスキルが多様化しているので、シミュレーターなどのツールも導入して実習を行っています。こうした教育方針、教育システムを組み合わせることで、建学の精神である「良き医療人の育成」という目標を受け継ぎ、実現に努めています。

―佐賀に医師を定着させる取り組みについて。

 佐賀県内の2016年と18年を比較した医療施設に従事する医師の増減はわずか1人という統計があります。全国ワースト2位の少なさで、大きな危機感を抱いています。

 県が医師定着のために展開する「SAGA Doctor―S プロジェクト」の一環として、4月に佐賀大学医学部附属病院に「医師育成・定着支援センター」を設置しました。文字通り臨床現場で活躍する医療人を育成し、佐賀に定着してもらうために必要な支援をしていく組織です。医学部の6年間、看護学部の4年間の大学教育だけではなく、入学前の時期から卒後のリカレント教育まで、継続的、包括的な教育を支援することを目指しています。

 具体的な取り組みとしては、各高校の先生方と連携して、医師や医療人を目指したいという生徒に対して当学部の特徴や将来のイメージを伝える説明会などを計画しています。センターの設置前に約1年の準備期間を設け、自治医科大学や佐賀出身で県外の医学部で学んでいる学生らへアプローチをする方針を固めました。今後も医師の高齢化が進む中で、将来的に地域医療を支える人材の定着を図る施策を展開していきます。

―研究分野での取り組みは。

 教育と並ぶ医学部の柱である研究分野については、基礎研究と臨床研究を有機的につなぎ、特色のある研究を推進しています。トランスレーショナル・リサーチ(橋渡し研究)の中から有望な研究を発掘し、異分野との連携や産学共同の開発を支援していきたいと考えています。

 特に再生医療分野では、中山功一教授の講座で独自に開発したバイオ3Dプリンターを用いて作製した「細胞製人工血管」の臨床研究が大きな注目を集めています。その他に創薬研究やアレルギー研究の分野の研究にも力を入れていて、有望な研究を積極的に支援しているところです。

 新型コロナウイルス感染症の収束後には、アジアに近い立地を生かし、シンガポールやマレーシアなどの大学と、私たちが得意としているロボット支援下手術や再生医療の分野で遠隔連携を進めていきたいと考えています。

佐賀大学医学部
佐賀市鍋島5―1―1 
☎︎0952―31―6511(代表)
https://www.med.saga-u.ac.jp/

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