九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

休床病棟をコロナ専用に マンパワーの充実で負担軽減

休床病棟をコロナ専用に マンパワーの充実で負担軽減

独立行政法人国立病院機構
田中 滋己 院長(たなか・しげき)
1981年三重大学医学部卒業。国立小児病院小児医療研究センター(現:国立成育医療研究センター)、
米ペンシルべニア大学などを経て、1998年国立三重中央病院(現:三重中央医療センター)入職、2019年から現職。


 周産期医療、循環器病分野における高度な救急医療を担っている三重中央医療センター。第2種感染症指定医療機関として、院内の新型コロナウイルス感染症対策の指揮に当たってきた田中滋己院長が、この1年を振り返る

―これまでの経緯などを教えてください。

 赤字体質からの脱却を目指し、診療の効率化を図るために、2019年12月、50床あった病棟の休床に踏み切りました。黒字化を目指して一丸となった矢先に、新型コロナウイルスが日本に上陸。図らずも、病院再建に向けた団結力は、コロナ対応にかじを切って生かされることになりました。

 三重県はコロナ感染患者の病院別受け入れ状況を非公開としており、詳細は控えますが、当院はインフェクションコントロールドクター(ICD)1人が中心となって受け入れ対応をしてきました。県との調整もICDに窓口を一元化したことで、混乱なく進んでいます。ただ、労務管理を含め1人では負担が大きいため、体制見直しを考えているところです。

 この1年を通して一番困ったのは、救急外来です。もともと手狭で、2畳ほどのトリアージ室は病院に外付けされた簡易なもの。感染患者の対応に機能を発揮しづらい状況でした。以前から国立病院機構本部に救急外来棟の拡充をお願いしていましたが、コロナでその必要性が明らかになり、実現に向かったのは大きな一歩です。許可が下り次第、建設に着手し、できるだけ早く開設できればと願っています。

 コロナが収まっても、また新興感染症が発生する可能性がありますし、2次救急、2次輪番の機能を盤石にするためにも早急に筋道をつけたいと思っています。

―周産期医療でのコロナ感染の対応は。

 県内でコロナに感染した妊婦さんを受け入れられる病院は限られています。当院は県に2カ所ある総合周産期母子医療センターの一つ。陰圧の手術室があるため、感染した妊婦さんの帝王切開にも対応することができます。役に立ったのが、例の休床病棟です。ここをコロナ専用病棟として使うことで、妊婦さんの受け入れにも配慮できたことが大きかったと思います。

 一方、産科病棟で感染者が出た場合、どのようにケアをすればいいのか。三重県では前例がなく、県外から情報を収集することに苦慮しました。

 心配したのが、看護師の配置です。もし、休床病棟をフルに使うとなれば、各病棟から看護師を集めて対応しなければならず、そうなると、一般診療が総崩れになりかねません。県や国立病院機構の病院に依頼して看護師派遣の手順は整えていましたが、どこの病院も今は手一杯です。いざとなれば一般診療や救急も断る覚悟でしたが、幸いにも診療制限には至らずに済んでいます。

―今後の展望は。

 第1波から1年が経過し、職員のこの間の努力には、頭が下がる思いです。しかし、誰もが多少の疲れやストレスを抱えています。そんな中、21年4月に新たな職員を迎えました。コロナ対策の中での指導は大変ですが、早く慣れてもらうことで、これまで頑張ってきた職員が精神的、肉体的に休むことができるのではないかと期待しています。

 研修医も6人加わりました。若い人材が増えることで、やはり現場の活気が違います。22年度には救急外来棟が新しくなり、ハード面が整います。コロナをチャンスに変え、マンパワーも充実させ、より強い病院に成長したいと思います。

 組織として再スタートを切った矢先にコロナという大波にのまれましたが、職員の努力でなんとか座礁せず、航路変更もせず、ここまで来ることができました。今後も安全に航海できるよう、気を引き締めていきたいと思います。

独立行政法人国立病院機構 三重中央医療センター
津市久居明神町2158―5
☎059―259―1211(代表)
http://www.miechuo-hosp.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる