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「人こそ資産」で改革 満足度向上、離職者減少

「人こそ資産」で改革 満足度向上、離職者減少

高知県厚生農業協同組合連合会 JA高知病院
都築 英雄 院長(つづき・ひでお)
1987年徳島大学医学部卒業。徳島市民病院外科医長、
土佐市民病院副院長、JA高知病院外科診療部長などを経て、2019年から現職。


 2021年に創立90年を迎えたJA高知病院は、高知市に隣接する南国市で、地域の2次救急を担っている。職員が働きやすい環境づくりに力を注いでいる都築英雄院長に話を聞いた。

―運営面で力を入れてきたことは。

 当院の入院比率は一般外来が60人に1人、紹介は5人に1人、救急は2人に1人です。紹介と救急の患者さんの入院比率が高く、紹介と救急の受け入れが経営の安定には不可欠です。

 そこで、救急の応需率を上げることに注力しています。救急を取らなくては病院が立ち行かなくなるという危機感を院内で共有し、以前は年間600件ほどだった救急車の受け入れ件数を、新型コロナウイルス感染症の流行前には900件まで引き上げることができました。高知市内には高度急性期病院が三つあり、2次救急も同市内に流れがちです。地元の患者さんは当院で受け入れるために努力を続けています。紹介増につながる病病連携、病診連携も病院存続の要。開業医や介護施設との研修会などを通して顔の見える関係の構築を図っています。

 災害拠点病院としては、コロナへの対応を通して日頃の備えの大切さを再認識しました。食料品は約3日分備蓄していましたが、手袋、マスク、防護服などの医療物資の備えが不十分だったことを踏まえ、日常の中に備蓄を取り入れる「ローリングストック」を開始しました。今後は、災害時に自発的に行動できる職員の育成とともに、地震や新たな感染症に備えた訓練を重ねていきます。

―コロナへの対応は。

 流行初期に早急に患者さんの受け入れを表明し、外科病棟の48床のうち、34床を感染症病床にしました。利益は後回しになっても、まず人として行うべきことを優先させるという「先義後利」という考え方に基づいて受け入れを決めましたが、職員は非常に協力的で心強かったです。

 コロナ患者さんへの対応で、職員に自信と誇りが芽生えたのがはっきりと分かり、医療技術だけでなく、人間性も高めることができたと思っています。

―組織のトップとして最も大切にしていることは。

 いかに職員に気持ちよく働いてもらえるかです。人を大事にする病院でありたいと常に思っていて、2020年度から医師評価制度を導入しました。これは、自分がより成長するために何を改善すべきかを知る機会にもなります。導入した矢先にコロナに見舞われ、業績評価をするのが難しかったので、行動評価を中心にしました。

 勤務体制の柔軟化、資格取得への費用援助のほか、非正規職員から正規職員への転換も積極的に実施していて、5年間で36人が正規職員になりました。院内保育所の充実など女性や子育て世代が安心して働ける環境づくりも進めており、今後推進したいのは、男性職員の育児休暇の取得。制度の周知や意識改革に取り組んでいきます。

 人を集めるためには、「しっかり休める」「ちゃんと評価してもらえる」ことを示すことが重要だと考えています。待遇面を手厚くしたことが功を奏したのか、当院の看護部門は倍率が高くなり、その結果、優秀な人材が集まっています。さまざまな取り組みを始めた結果、職員の満足度が向上し、20年の離職者数は19年の半数に抑えることができました。

 私は50歳になった頃に受けた指導者研修を通じて人としてのあり方を教わり、京セラの創業者・稲盛和夫氏の哲学にも大きな影響を受けました。「会社や組織はトップの器以上にはならない」との言葉には、気が引き締まります。日々反省の繰り返しですが、トップがぶれると組織は持ちません。病院を支えてくれる職員に日々感謝しながら、どう動くべきか考え続けていきます。

高知県厚生農業協同組合連合会
高知県南国市明見中野526―1
☎088―863―2181(代表)
http://www.kouseiren.ja-kochi.or.jp/

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