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伝統を発展 患者へ還元を

伝統を発展 患者へ還元を

北海道大学大学院医学研究科・医学部脳神経外科
藤村 幹 教授(ふじむら・みき)

1994年東北大学医学部卒業。米スタンフォード大学研究員、
東北大学脳神経外科准教授、広南病院脳神経外科部長などを経て、2021年から現職。


 北海道内の脳神経外科医療をけん引し、研究面でも多くの実績を上げている北海道大学の脳神経外科。新教授の藤村幹氏は「伝統の継承と発展」などを指針に、教室を率いていく。

教室運営 「3本の足」で前に

 2021年1月、古里であり、医師として多くの経験を積んだ杜の都・仙台を離れ、北海道へ活躍の場を移した。
 北海道大学の脳神経外科教室は1965年に開設され、藤村氏は5代目の教授となった。掲げた教室運営の指針は三つ。一つ目は、脳血管障害、脳腫瘍、脊髄脊椎疾患を中心に診療や研究を行ってきた教室の50年以上の伝統を継承し、発展させること。

「特色をしっかり守りながら、多様化する社会のニーズに応えていきます。教室員の手術の腕や学問の実力を、社会が求める方向にフィードバックしたいと思っています」。発展を目指す分野の一つは、再生医療。再生医療の研究が盛んな北海道大学で、脳卒中患者の機能回復を目指した研究に在任中に着手したい考えだ。

 地域医療の堅持と、教室と地域の未来を見据えた人材育成にも尽力していく。「道内の大学、医療機関、行政との連携にも力を入れながら、地域での役割を果たします」。伝統の継承と発展、地域医療の堅持、人材育成の「3本の足」で前進を目指す。

実習で魅了、脳外科医に

 脳神経外科医を志したきっかけは、医学生時代の実習だった。脳卒中診療を担う実習先の病院で、刺激的な時間を過ごした。当時としては最先端のカテーテル治療や顕微鏡を用いた手術、救急患者の受け入れなどを先輩医師たちが一生懸命にしている姿が印象的で、「最新の手術や救急など活動範囲が広く、自分も脳卒中と脳血管障害の治療に一生を捧げたいと思った。東北地方は脳血管疾患による死亡率が高く、地域に貢献したいという思いもありました」と振り返る。

 卒業後は、東北大学で元同大学総長の吉本高志氏に師事した。妥協が許されず、高い成果を求められる環境の中で、脳神経外科医としての基礎を学んだ。研究や治療で日本が世界をリードしている難病「もやもや病」については、脳循環代謝・周術期病態や遺伝子分野の研究に長年力を注いできた。

治療で社会に貢献 これからが勝負

 前任地の病院で受け持っていた患者に北海道大学への赴任を告げると、別れを惜しんでくれ、「実は自分自身が患者さんに生かされ、支えてもらっていたということに、離れてみて初めて気が付きました」。医師人生は25年以上が経過した。これまで人の役に立ちたい、社会に貢献したいとの思いで歩んできたが、これからが「本格的に社会へ貢献できる時期」と捉えている。

 「脳神経外科医はトレーニング期間が長く、すぐ患者さんの役に立ちたいと思っても難しい面があります。最初の10年は、いわば『借金』をしている期間。多くの教えを乞い、その後10年かけて『借金』を返すように、身に付けた技術を患者さんに還元することで恩返しをしていく。この約20年間で収支のバランスがやっと取れ、本当に人の役に立てるかどうかはこれからが勝負だと思っています」

 最後に、脳神経外科医の魅力について聞いた。「手術では、小さなミスが重大な後遺症につながることがある。不測の事態に備えることを含めて、医師のスキルの全てが求められる分野ではないかと思っています。心身のバランスを自分で忍耐強くコントロールする必要がありますが、一方で得るものも大きいです」。後進に魅力を伝えながら、社会のニーズに応えられる教室づくりを進めていく。

北海道大学大学院医学研究科・医学部 脳神経外科
札幌市北区北15条西7 ☎011ー716ー1161(代表)
https://neurosurgery-hokudai.jp/

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