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小児科医療を 全方位カバー

小児科医療を 全方位カバー

岐阜大学大学院医学系研究科 小児科学教室
大西 秀典 教授(おおにし・ひでのり)

1998年岐阜大学医学部卒業、
2003年同大学大学院医学研究科内科系専攻()修了。
同大学医学部附属病院准教授を経て、2021年から現職。
新生児集中治療部長、アレルギーセンター長を兼任。


 2021年3月、岐阜大学小児科学教室の教授に就任した大西秀典氏。目標に掲げているのは、小児科医療を全方位的にカバーすることだ。総合的な診療と専門的な診療の両面に力を入れながら、先進的な臨床・研究にも取り組みたいと語る。

小児科疾患を抜けや漏れなく

 「感染症やアレルギー疾患など、比較的ありふれた疾患をしっかりと診ながら、希少疾患の診断・治療といった高度専門医療も担っていきたい。地域の患者さんのあらゆる病気を診療する力を備えていることが地方の大学病院として重要な役割で、そこを大事にしたいと考えています」

 教室員は、非常勤も含めておよそ30人で、小児科として県内最大規模。教室は、先天性免疫異常症、神経疾患、血液・悪性腫瘍、内分泌、新生児医療など、幅広い分野の臨床、研究、教育を担うほか、県と連携して小児患者の在宅移行支援や小児在宅医療に従事する医療者の育成にも力を注いできた。

 研究面でも、複数の分野で国内外をけん引。例えば、先天性免疫異常症や先天性代謝異常症の遺伝子解析では中核施設の役割を担い、全国から検査依頼が届く。「難治性血管腫・リンパ管腫(脈管腫瘍・脈管奇形)」にmTOR阻害剤「シロリムス」を投与する臨床研究・治験では、外科的治療が主流の疾患で、世界初の薬事承認が期待されている。

 「教科書で学んだだけでは、診断も治療もできない病気がたくさんあります。抜けや漏れのない診断をすること、診た患者さんをテーマに研究をしていくことを、教室員に伝え続けたいと思っています」

年齢、症状 「なんでも診る」

 三重県伊賀市生まれ。父親は開業医で、子どもからお年寄りまで、さまざまな患者を診ていた。その背中を見て育ったこともあり、自然に医師という職業と、地域医療に興味を持った。「地域の開業医は、どんな患者さんが来ても、まず診る。それがいいなと思っていました」

 小児科を選んだのも「どんな患者さんも、どんな疾患も診る」から。「小児科は、新生児からAYA世代(15歳〜30歳代)、さらには小児期に発症して成人した患者さんも引き続き診療します。実は年齢を問わない診療科で、扱う疾患の領域も幅広い。地域医療と同じ魅力を感じました」

 自身は、日本小児科学会専門医・指導医であると同時に、日本小児神経学会専門医。広く浅く、ではなく「広く深い」知識を追求してきた。「私たちは、総合診療医であり、専門医。大変だけれど、それがおもしろさでもある」。教室員の勧誘でも、その魅力を伝えている。

研究と臨床をつなげていく

 自身の主な研究テーマは、先天性免疫不全症。研修医1年目の時、重度の複合免疫不全症患者を診療した際、原因が分からず、治療法もないことに驚いた。「あの時のインパクトで、進路が決まった気がします」

 大学院に進んで本格的に免疫の研究に取り組んだ。2009年には、自然免疫に関わる鍵となる分子「MyD88」の立体構造を解明。直近では、多施設共同研究で、遺伝性自己炎症性疾患「A20ハプロ不全症」の新たな病像と治療法を発見し、2017年に論文を発表している。

 教室として、研究と臨床をよりスムーズにつなげていくことが、大きなテーマの一つだ。「小児科は、年齢層的に難病の遺伝性疾患の患者さんが多いのが特徴。一つ一つの疾患の患者数が少ないからこそ、研究ベースでデータを集め、原因を突き詰め、診断し、治療につなげていくことが必要です。研究と臨床を分断することなく、一つにまとめて、難しい病気に取り組んでいきたいですね」

岐阜大学大学院医学系研究科 小児科学教室
岐阜市柳戸1ー1 ☎058ー230ー6000(代表)
https://www1.gifu-u.ac.jp/~gifuped/

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