九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

初期から対策に着手 地域の応援支えに奮闘

初期から対策に着手 地域の応援支えに奮闘


柴田 陽三 病院長(しばた・ようぞう)
1981年福岡大学医学部卒業。同大学大学院医学研究科准教授、
同大学筑紫病院整形外科教授、副病院長など経て、2019年から現職。


 福岡大学筑紫病院は第2種感染症指定医療機関として、新型コロナウイルス感染症の流行初期から厳重な対策を講じてきた。陣頭指揮を執る柴田陽三病院長は、疲弊しながらも最前線で努力し続ける職員を労い、地域の支援にも感謝しながらコロナ禍を乗り越えようとしている。

―流行初期の対応は。

 当院では2020年3月に新型コロナの対策チームを発足させました。当時はまだ国内での感染者も多くなく、エビデンスを伴う情報も少ない状況でした。既存の抗ウイルス薬が効くのか、どれぐらいの感染力があるのか分からない、手探りでのスタートでした。

 ただ、当院は第2種感染症指定医療機関として、さまざまな事態を想定しなければいけません。当初はSARSと同レベルの感染症であると想定し、連日のように会議を開いて可能な限りの対策に着手しました。まずは外来患者さんの出入り口を2カ所から1カ所にして、全員に手指消毒の徹底と検温を実施しました。高熱だった場合はそのまま発熱外来に移動してもらい、一般の患者さんと明確に分けて診察しました。二つあった職員の通用口についても発熱外来の近くにある通用口を閉鎖し、できるだけ感染者と交わるリスクを避けるようにしました。

 次に整備したのは、PCR検査の体制です。院内に対策チームを立ち上げた時点で、当院にPCR検査の装置はなかったので、すぐに発注して20年4月末に納品。その後の大型連休を利用して臨床検査技師にトレーニングをしながら、検査対象とする入院患者さんを検討しました。当時から、全身麻酔で喉に人工呼吸器を付ける患者さんや、内視鏡や気管支鏡の検査を受ける患者さんに対しては、事前にPCRを行っています。

―患者の受け入れについて。

 当院では以前からある感染症病床2床のほか、コロナ専用病床を約30床設け、多い時期は20人以上の患者さんを受け入れました。院内感染も発生し、21年1月末までに職員20人を含む41人の陽性が確認されました。

 感染拡大の恐怖や不安を抱えながらも、最前線で対応している医師や看護師らには、本当に感謝しかありません。一方で、職員の健康や生活が気掛かりです。PCR検査を含め、担当の職員は常に厳重な感染防御対策をする必要があり、それだけでも大きなストレスです。さらに私生活でも制約があり、同僚や友人との会食、スポーツ観戦やライブ鑑賞は禁止。県をまたいでの移動も原則禁止です。厳しいルールを守ることで、家族との関係が少し悪くなってしまった職員もいるようです。今後、どこまで職員のモチベーションが保てるのか。難しいところです。

 そのような中、これまでに地域の皆さんから多くの支援をいただき、大いに励まされました。小中学校の児童生徒からは応援の寄せ書き、近隣の会社からはお弁当やジュースなどの差し入れもあり、本当にありがたく思っています。応援を糧に、地域の医療機関とも協力しながら、何とかコロナ禍を乗り越えたいですね。

―今後の展望について。

 20年3月から現在まで、膨大な予算と人手をかけて新型コロナウイルスへの対応に当たってきました。具体的な対策は実現できたと思いますが、病院の経営面はかなり厳しく、年間の赤字額は例年を大きく上回る見込みです。今後は経営バランスを重視し、業務の効率化・経費削減などに取り組みたいと思っています。

 また、病院本来の役割も忘れてはいけません。当院は筑紫医療圏の基幹病院として、日頃からプライドを持って診療しています。今後も感染症だけでなく、内科系、外科系の病気を抱える患者さんが信頼、安心できる医療を提供したい。万全の体制で多くの患者さんを受け入れられるよう、引き続き精進していきます。


福岡県筑紫野市俗明院1―1―1
☎092―921―1011(代表)
http://www.chikushi.fukuoka-u.ac.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる