明けましておめでとうございます。皆さまにおかれましては、2020年の新春を心新たに、健やかにお迎えになられたこととお喜び申し上げます。
2019年4月30日、天皇が退位され、5月1日、新天皇が即位されるとともに、元号が「令和」に変わりました。そして10月22日には即位礼正殿の儀が盛大に執り行われ、日本国内外に即位を宣明(せんめい)されました。誠に喜ばしく思います。
近年、わが国では少子高齢化が進んでおり、2018年の出生数と死亡数の差、すなわち自然減少は44万4085人で、前年より4万人9753人増加しており12年連続の人口減少でした。人口減少は将来の医療需要や労働人口の減少に直結するところであり、今後、医療のみならず全ての社会環境において毎年、厳しさが増していくと予想されます。
こうした中、厚生労働省は2019年9月26日、地域医療構想の議論を活性化することを目的として、診療実績が少ないこと、近接地に競合する病院があることなどの指標をもとに全国424の公的病院名を公表しました。この公表の目的が、地域医療構想の推進を加速することであり、決して統廃合を強制するものでないことは承知しているところですが、公表された病院の地域住民の強い不安を考えるとき、公表の仕方にもう少し工夫が必要ではなかったかと思います。
一方、厚生労働省の説明の通り、指標はあくまで〝全国一律、機械的な指標〟ではありますが、人口減少社会において今後の地域医療を持続可能な形で維持していく上で、参考にすべき重要なデータであることには変わりありません。各地域医療構想調整会議において、一層の議論を重ね、公的病院、民間病院ともに、地域の実情や病院の機能、特性を熟慮しながら、新しい時代に向けて自院のバージョンアップを図っていく契機となればと考えます。
世界に類をみないスピードで高齢化が進展しているわが国は、人生100年時代を見据えて、健康寿命のさらなる延伸が求められています。そのためにわれわれ医師は、病気を診るだけではなく、これからの医療として一次に予防・教育、二次に診断・治療、そして三次に重症化予防・見守り・看取りを一貫して提供していく大きな役割を担うことになります。
すべての医師が地域住民から厚い信頼をいただき、今後の少子高齢化社会に貢献できるよう、本年も医師会会務に邁進いたしたいと存じます。
結びに、本年が皆さまにとって、より良い一年となりますよう祈念し、年頭に当たってのごあいさつといたします。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。