九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

東京大学医学部附属病院 病院長 瀬戸 泰之

東京大学医学部附属病院 病院長 瀬戸  泰之

 皆さま、あけましておめでとうございます。

 2019年4月より病院長を拝命しております瀬戸でございます。紙面を借りて新年のごあいさつを申し上げます。

 東大病院はその理念を、「臨床医学の発展と医療人の育成に努め、個々の患者に最適な医療を提供する」とうたっております。また、そのための目標を、患者の医療を尊重する医療の実践、安全な医療の提供、高度先進医療の開発、優れた医療人の育成としております。2019年はNewsweek誌の、The 10 Best Hospitals in the worldで世界第8位に位置付けていただきました。その評価に甘んじることなく、なお一層発展できるよう尽力してまいる所存です。

 当院での施設整備は2019年に一段落いたしました。今後は既存設備を含め、施設の利活用をいかに行っていくか、また既存設備のリニューアル計画などが大きな課題になってまいります。また、ほかの大学病院同様、当院でも喫緊の課題が経営状況の改善となっております。そのために職員一同一丸となって真摯(しんし)に取り組んでいるところです。

 当院の先進的医療の代表として、臓器移植とゲノム医療が挙げられます。脳死体からの移植(特に心臓、肺)が急増しており、2019年4~10月の上半期だけで肝移植、腎移植を含め47件の手術が行われました。東日本における移植治療の中心地たる当院としては、さらなる体制の確立が急務となっております。ゲノム医療もゲノムパネル検査が同年6月から保険診療化され、今後普及していくものと考えております。

 がんゲノム医療中核拠点病院(全国11病院)の一つとして当院の役割は大きいものと考えております。臨床研究法の施行により、最近臨床研究が行いにくくなったと言われており、実際その数が減少していることも報告されています。当院は、臨床研究中核病院(全国12病院)の一つであり、臨床研究を推進していく立場にあります。その要として臨床研究支援センターがあります。現状を改善する目的もあり、より研究者(ユーザー)に活用されやすい組織になるため、臨床研究推進センターに改組されました。臨床研究を目指す病院外の方々にもぜひ利用していただきたいと思います。

 大学病院を取り巻く環境は厳しくなるばかりです。働き方改革などこれから真摯(しんし)に取り組まなければならない課題が山積しております。皆さまにご支援いただいて初めて成り立っている東大病院です。今後ともよろしくお願いするとともに、忌憚(きたん)なきご意見を切にお待ちしております。

記事に関する感想・コメントはこちらから

このフォームに入力するには、ブラウザーで JavaScript を有効にしてください。
名前
メニューを閉じる