新年あけましておめでとうございます。
コロナ禍で「おめでたい」気持ちにもなれない気の抜けない昨今です。大都市においても、「医療崩壊」が目前に迫っています。医療資源が乏しい地方でコロナ重症例が多発すればその影響は計り知れないでしょう。
今日は大学附属病院の特殊性とその在り方について提言し、年頭にあたっての所感としたいと思います。
大学病院の使命は一般に「診療」「教育」「研究」の三本柱と言われています。しかし、実際は「地域医療支援」を加えた四つなのです。
その中で、国は「働き方改革」を急ピッチで議論しています。地域医療支援で大学から派遣される医師の派遣先医療機関での「働き方」は紛れもなく兼業・副業にあたり、本業の働き方との関係で連続勤務時間制限などが問題になります。
高度医療に携わり、学生・研修医の教育も担当し、学会・論文のための研究も必須で、研究費獲得にも努力しなければなりません。それらに加えて地域医療支援のため働く必要がある大学病院勤務医です。一般の病院勤務医とは全く異質の働き方が求められます。 大学病院勤務医の働き方の特殊性は、厚生労働省「医師の働き方改革の推進に関する検討会 」や日本医師会「医師の働き方検討委員会答申」でも一般病院とは一線を画し独立して扱われ、議論されていることからも明らかです。
一方、医療法において病院は、一般病院、特定機能病院、地域医療支援病院、精神病院、結核病院の五つに類型化され分類されています。
「特定機能病院」は二次医療法改正において1993年、制度化されました。当初は大学病院を類型化するものと思われましたが、高度先端医療行為に対応する病院として大学病院のみならず、ナショナルセンターや各地のがんセンターが参入し、大学病院の特殊性を規定する分類とはかけ離れてしまいました。
高度医療や地域医療支援に加え「教育」や「研究」を担当しなければならない大学病院は、他の病院とは異質のかけ離れた性質を持っています。大学病院=「教育病院」で、そこに働く医師=教員は他の類型の病院勤務医とは全く異なった働き方をしているのに、医療法に規定されていないことは、極めて奇異なことです。
日本私立医科大学協会は全国医学部長病院長会議などと連携し、大学附属病院を医療法上「教育病院」と明確に規定するよう、改正を強く要求してゆきたいと考えています。