日本医師会 新会長に中川俊男氏

中川俊男 新会長
(画像提供:公益社団法人日本医師会)

 任期満了に伴う日本医師会(会員約17万2千人)の会長選挙が6月27日、東京都文京区の日本医師会館で行われ、副会長の中川俊男氏(69)が5選を目指した現職の横倉義武氏(75)を破り、初当選した。任期は2年。会長選は代議員371人(欠席1人)が投票し、中川氏191票、横倉氏174票、白票4票、無効2票。4期8年司令塔を務めたトップと長年支えてきたナンバー2による激戦となり、8年ぶりの交代となった。

異例の選挙戦

 年明けから半年近く、全国の医療現場が新型コロナウイルス感染症への対応に追われる中、異例の選挙戦となった。

 中川氏は北海道医師会常務理事を経て、2006年日医常務理事となり、10年から5期副会長を務め、横倉執行部の誕生から中核を担ってきた。一方、横倉氏は福岡県医師会長を経て、同じく10年から日本医師会副会長を務め、12年、現職・原中勝征氏を破って初当選した。以降、世界医師会長を務めるなど、日本の医療の屋台骨を支えてきた。

 中川氏は横倉氏から禅譲表明を受けていたが、コロナ対応での司令塔交代に異論が出て横倉氏が告示前日に一転して出馬表明し、日医を二分する激しい選挙戦となった。

安倍政権下に手腕発揮

 横倉氏は民主党政権時代に自民党支持を打ち出して民主党よりの原中氏を破って以来、政権復帰した安倍首相との良好な関係を軸に政府・与党との太いパイプを生かし、日医の存在感を高めた。2年に一度の診療報酬改定では毎回、医師や看護師の人件費に回る本体部分のプラス改定を勝ち取ってきた。

横倉路線の継承掲げる

 これに対し、長く副会長を務めてきた中川氏は政策通で鳴らし、中央社会保険医療協議会委員を長く務めた。次期会長への意欲を表明し、「横倉路線の継承」を掲げ、4期目に入った横倉氏に禅譲を迫ってきた。多選批判もあり、横倉氏が「禅譲」を口にしたことで、北海道、東北医師会を中心に中川待望論も起き、会長交代への流れができ、両氏の動向に注目が集まっていた。

 中川新会長は75歳以上の医療費負担の見直しに慎重姿勢を示しており、「是々非々で臨む。政府には言いづらいこともはっきり申し上げていく」と表明しており、今後が注目される。

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