九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

新たな地域医療システムを発信

新たな地域医療システムを発信

独立行政法人地域医療機能推進機構病院名 若狭高浜病院
秋野 裕信 院長(あきの・ひろのぶ)
1980年岐阜大学医学部卒業。福井大学医学部泌尿器科学教室准教授、
同附属病院医療環境制御センター医療安全管理部教授、
同副院長などを経て、2021年から現職。



◎福井大学出身として

 まず、私が当院の院長に就任した経緯について簡単にお話したいと思います。当院は、福井県にありながらこれまで福井大学と直接関係がなかったこともあり、福井大学医学部附属病院出身の院長が求められていました。前院長の退任に当たり、JCHO本部理事からの要請を受けた同大学病院の病院長から打診があり、お引き受けした次第です。私が医療安全管理部教授であったことで、院長として適任と考えられたようです。

 2021年6月には、福井大学医学部と当院、高浜町の3者が地域医療推進体制構築にかかる協働連携に関する協定を締結し、当院に「たかはま地域医療イノベーションセンター」を設置することになりました。協定締結の目的は、地域医療連携、地域医療教育、地域健康増進で、将来、高浜町で構築された新しい形の地域医療システムを全国に発信できればと思っています。特に期待するのは地域医療教育で、大学と連携して総合臨床医、総合内科医の育成に努め、当院の将来を担う医師の確保につなげていきたいと考えています。
 
 当院には、地域包括ケア病棟、療養病棟、健康管理センター、リハビリテーション部、介護老人保健施設、訪問看護ステーション、居宅介護支援センター、地域連携室があり、地域住民の健康増進、疾患の予防、診断と治療、リハビリテーション、介護と途切れることのない地域医療システムを実現するのにうってつけの病院です。社会保険病院であった歴史がある関係から、企業健診が多いのですが、住民健診を拡大していき、地域住民とさらに密接な関係を構築し、「暮らしを支える医療」の中心として頑張っていきたいと考えています。


◎職員の連携を高め、ワクチン接種にも協力

 スタッフは皆、働き者で、なかなか休暇を取ってくれないのですが、私と看護部長が事務スタッフと連携し、計画性を持って、この問題に当たっています。医師の日当直医への権限委譲、全ての医師に外来予約制の導入、時間外での委員会の実施を極力なくすなど、当たり前のことの徹底を、まずは行いたいと思います。

 高浜町ではワクチンの集団接種が行われ、その業務の多くを当院スタッフが担ってきました。医師数、看護師数が限られた中での業務であり、年休の取得が難しい状況にありましたが、院長、看護部長自らが積極的にワクチン業務にかかわり、スタッフの業務負担の軽減、休暇の取得を促してきました。


◎対話を大切に

 大切にしていることは一言で言えば、対話(アサーティブ・コミュニケーション)です。これは、収益アップ、チーム医療、医療事故防止、離職の防止など、全てに不可欠なものです。アサーティブ・コミュニケーションに大切な四つのこと、誠実、対等、率直、自己責任を病院スタッフに強く求めています。

 自分に対しても、相手に対しても誠実であること、上司と部下、同僚同士どのような関係でも職種を越えて対等であること、遠回しではなく、率直に考えを言葉で具体的に伝えること、伝えたいことが伝わらなくても相手を責めない、伝えるのは自分の責任であることを話しています。

 これを実現するためには心理的安全性が職場にあることが重要ですが、心理的安全性については院内の医療安全研修で取り上げ、私自身が全スタッフに伝えることにしています。今よりもさらに風通しの良い、建設的な職場を目指していきます。

 福井県高浜町は、風光明媚(めいび)な観光地で、20年はCOVID― 19のため閉鎖を余儀なくされましたが、若狭和田ビーチはアジアで初めての国際環境認証「BLUE FLAG」を取得したきれいな白浜のビーチです。ぜひ、高浜町を訪ねていただければと思います。お待ちしています。



独立行政法人地域医療機能推進機構 若狭高浜病院
福井県高浜町宮崎87-14-2 ☎ 0770-72-0880(代表)
https://takahama.jcho.go.jp/

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