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富山大学附属病院 病院長 林 篤志

富山大学附属病院 病院長 林  篤志

 2020年という56年ぶりに東京オリンピックが開かれる記念すべき年が明けました。新年を迎え、また新たな気持ちで今年一年を頑張ろうと思いますが、大学病院には課題が山積しています。 まず、医師の働き方改革です。大学病院は特定機能病院として高度先進医療を担う病院であり、地方にあっては地域医療の最後のとりでとなる病院です。その役割を果たしながら医師の長時間労働をどうやって減らして適正化するかは、本当に頭の痛いところです。

 富山大学附属病院でも宿日直と夜勤を分けて医師の時間外労働の把握から始めていますが、多くの診療科に多くの医師がおり、いろいろな意見があるため、まとめるのに苦労しています。

 医師の働き方改革は前代未聞の取り組みであり、2024年3月までに仕上げることが求められているので、今、病院長をしている先生方は本当にご苦労されているだろうと想像します。

 二つ目は地域医療構想と医師の偏在対策です。2019年、厚労省から再編統合を検討するべき病院が発表され波紋を呼んでいます。公表の仕方に問題があったものの今後の人口減少時代の日本において医療機関の縮小は避けられないものと考えます。

 今、病院の経営を担う世代は、日本の人口増加をもとに拡大を当然としてきた世代と思われるため、人口縮小時代は未曽有のことであり、発想の転換が求められると思います。病院の規模を縮小しながら、いかに個を生かせるかを皆で検討するべき時期になったと思っています。

 医療機関の対応は遅れていますが、すでに日本の多くの民間企業は人口減少時代に適応しようと必死になっています。当院もしっかり対応していきたいと思います。

 さて、今、これら前代未聞の難題に対処していくために何が一番必要かを考えると、私は、2019年、ラグビー日本代表が日本中に大感動を与えてくれたone teamの精神ではないかと思います。

 大学病院で見れば各診療科がそれぞれの専門性を持ち、活躍しているとともに総合力として大学病院が成り立っています。これはラグビーの各ポジションの選手がそれぞれの個の役割をしっかり果たしながら全体として一つのチームが勝利していくことに通じます。

 私は、このone teamの精神を大事にして、大学病院においても地域医療構想においても、個を生かしながら全体として強いチームを作れるように自分の役割を果たしていきたいと思っています。大学病院の病院長がぜひスクラムを組んで頑張りたいと思います。

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