明けましておめでとうございます。謹んで新年のお喜びを申し上げます。
2018年の西日本豪雨、台風、地震と大きな災害の発生を踏まえ、埼玉県医師会では、2019年初めから災害時医療の見直しを行いました。さらなるJMAT編成を郡市医師会にお願いし、派遣JMATそして被災地JMATが組織的に活動できる体制もつくりました。2019年も台風19号による洪水被害がありました。今後の台風はさらに大型化し勢力も大きくなると思われます。災害時保健・医療のさらなる充実が必要です。
わが国の平均寿命は延び続けており、毎年最上位国に近い状況です。そして、健康寿命も上位国ですが、平均寿命と健康寿命には大きな差があり、予防医療の推進・普及が重要と考えられています。当県では多くの地域で健康長寿への取り組みが行われており、誇るべきことであると思います。
日本は世界で最初に超高齢社会を迎えた国です。加齢とともに医療ニーズは増加し、生産人口の減少と相まって現役世代への負担が増えてきました。その中にあっても、健康で心豊かな生活を長く送るために、必要な医療・介護を安心して受けられる安定的な体制が必要です。
2000年に世界保健機関(WHO)は、わが国の皆保険制度は総合評価で、世界で最も優れていると認めました。しかし、現在の保険制度を維持していくことが財政面から困難になってきたと、近年言われています。そのため負担と給付について見直す議論がされています。
負担増については、後期高齢者医療制度での窓口負担の引き上げや受診時窓口定額負担などで、給付の見直しでは、医療用医薬品で既に一般医薬品として薬局で販売されている薬品の一部についての給付の見直しなどです。
高額医薬品や高度先進医療の保険適用、そして超高齢社会での医療需要の増加などで財源が不足してきたことから、医療保険制度の見直しが議論されていますが、国民の財産と言ってよい皆保険制度は堅持しなければなりません。
人口動態や社会経済の変化により、過去にも自己負担割合の変更はあり、部分的な給付割合の変更もありました。
国民皆保険制度を持続可能なものとするため、国民的議論が必要と考えます。健康で長生きすることはすべての人々の願いです。健康の維持増進に心掛けるとともに、しっかりとした社会保障制度の維持のため皆で考える時だと思います。
最後になりましたが、皆さまにとって幸多い年となりますことを祈念し、新年のごあいさつといたします。